内容説明
ベトナム戦争、全共闘運動、連合赤軍事件。騒乱の60年代末、若きジャーナリストとして体験した、青春の蹉跌を描いた伝説の回想録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
22
親本は88年河出書房新社でした。著者の川本三郎は、関川夏央、坪内祐三、亀和田武等と同じ範疇に入る。所謂学生運動をよく知りえりサブカルにも詳しい世代として。彼は就職浪人をして朝日新聞社にはいり、朝日ジャーナルで記者をする。そこで関わった事件への関与が元で警察に逮捕され、免職となるその経緯が主。だがそれ以外の時代の空気感秀逸、阿佐ヶ谷で学生時代を過ごし、永島慎二が漫画で書いていた『ポエム』(実在した)では、店主の山内さんと親しくなり、永島慎二やフォークシンガーのシバと親しくなり、町内で赤瀬川原平も見たとの事。2025/06/03
Wataru Hoshii
3
川本三郎氏の青春の回想録。1971年生まれの私は、もちろんこの「政治の季節」のリアリティを想像するしかないのだけれど、筆者が時代と青春の危うさが一致した稀有な時を過ごしたのであろうことはよくわかるし、この時代を生きた若者たち…今は70代後半から80代前半ぐらいだろうか…の内面に思いを馳せた。自らの苦い記憶を振り返りつつ(古い瘡蓋を剥がしていくような記述である)、決して過去を美化することなく、しかし青春の過ちと断ずることもなく、時代の中で「こう生きるしかなかった」ことを見つめている。しかし熱は体の中に残る。2025/05/17
Go Extreme
2
https://claude.ai/public/artifacts/280282a9-50f2-4759-bb1b-b669c19f21fa 2025/06/10
unterwelt
1
1969年~1972年に週刊朝日、朝日ジャーナルの記者だった著者の回想録。殺人事件の証憑湮滅の容疑での逮捕に関する文章よりもその時代の文化や取材時のエピソードの方が面白く感じられた。全共闘運動について「それは政治行動というより思想行動だった。」と書き、「お前は誰だ?」と自己懐疑する運動だったと定義しているが、『お前はただの現在にすぎない』というテレビ論はこういう土壌から生まれたのだな。2025/06/29