内容説明
“小説”ならではの企みに満ちた“怪談”全7編。深夜、疾走する車内を戦慄させた「高速怪談」、呪われた大ヒットホラー映画「苦々陀の仮面」、禁忌を犯してしまった夫婦と「こうとげい」、正体不明の殺戮犯「うらみせんせい」、作者不明の恐怖譚「涸れ井戸の声」他。謎めいた語りが恐怖と驚愕を生み、奇妙で不穏な空気と意外な結末に嫌な汗が滲みだす。著者真髄の大どんでん返し恐怖短編集!(解説・大森望)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
26
澤村伊智ホラー短編集。怪談を小説の形で書かれたものや、怪談をテーマに描かれたホラー小説といったところで仕込みは様々。都市伝説のような怪談等を好事家たちが話題に挙げていると、やがて不穏な空気が侵食してくるようなドキュメンタリー調のものが流行りであると同時にやはり面白い。まるで怪談小説が現実に浸食してくるような怖さ。ホラー界隈で現在最も活躍しているであろう著者のこんな短編集が読みたかった、そんな希望を叶えてくれるのにうってつけの1冊。また著者お得意の土着信仰をテーマとした「こうとげい」といった作品も良かった。2025/06/11
のぼる
10
合う作品と合わない作品がある澤村さん。 この短編集もそうだったが、客観的にみると、粒揃いの傑作集と思う。2025/06/08
ゆーや
3
澤村伊智文庫新刊!怪談にまつわる短編集!どの作品もらしさが溢れてて大満足~!中でもやっぱり「こうとげい」はお家芸って感じしてめちゃ好き怖い楽しい!「涸れ井戸の声」も怖くてよいし、「怪談怪談」でオチも好きだねぞわぞわ!「笛を吹く家」は別の短編でも読んでたけど澤村伊智の描く人間の怖さと人間以外の怖さのあんばいがすき!2025/06/05
犬頭
2
怪談の語りのようなを体験できるような短編集だった。物語の中に入り込むのでは無く、物語がこちら側に実在するような錯覚を覚える短編が多く、非常に楽しめた。特に苦々陀の仮面がお気に入り。2025/06/02
jam
1
安定して面白い七編。「高速怪談」は別のアンソロジーで読んだことがあったが、他は未読だった。「苦々陀の仮面」が特に好きだな。伏線がさりげなくあるので二度読みして味わった。2025/06/08