内容説明
「呪物」と対話する田中と「魂」の声を聞く高田
奇才と鬼才のガチンコ怪談!
おぞましく、恐ろしく、時にほろり――
「呪」と「魂」を繋ぐ「念」の奇跡
心の毛穴がぶわっと開く珠玉の怪奇取材録28!
「黒石さん」田中俊行
原因不明の火事の理由。焼け跡に転がる丸い石の謎
「師匠の形見」田中俊行
持ち主の命が削られる?形見分けで貰った忌み筆
「枇杷の木」田中俊行
土地に染み付いた怨念を吸い取って家を守る木
「鬼」高田公太
旧家の祖母宅で見た鬼。母の服を着たそれの正体
「呪・念・魂」高田公太
父の呪殺を夢見た娘。実行せずとも父に異変が…
「家族」高田公太
貧困と孤独に泣いた夜。少年の背を叩いたモノは
ほか、呪物から家族の物語まで心を揺さぶりまくる怪異談28話収録。
土を捏ねるように、或いは鉄を打つように。
絶えず「魂」に圧を加え、渾身の力で想いを、「念」を練り込む。
するとそこに「呪」が生まれる。
人の根っこから、人ならざるものが生えてくる。
この世の怪の幾つかは、きっとそこからやって来た――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
54
実話怪談集。呪物蒐集家と怪談作家とのコラボで前半を田中俊行、後半を高田公太がそれぞれ担当している。コラボらしくそれぞれの持ち味が良く出ている話が多いと思う。前半は収集家の著者の持ち味を生かしたのかモノに纏わる話が多い。その代わり因果と言うか因縁じみた話が多く、古い昔ながらの怪談の趣が強いかな。後半は人間関係、しかも義母と嫁、毒親と娘等の一癖も二癖もある様な関係が目立つなあ。その分嫌さも増幅されているわけですが。独自の境地を持つ二人の怪談集楽しませてもらえました。あと他の人も指摘しているけど誤植が酷い。2025/06/08
eyemu
11
今、東北に住んでいるから高田さんは今のうちにいつか怪談会に行きたいと思っている。 そして、田中さんはもう長いこと追いかけている気がする。 だから、お二人の本が出ると聞いた時は小躍りした。 とりあえず、どの話も気持ち悪くて良い。 呪念魂すべてモノに宿る気がする。だからこその田中俊行なんだと思う。2025/06/25
XX
9
著者ふたりのカラーが全く違って面白い。田中俊行は拾ってしまった系の怖いはずの話を、ゆるい文体で書いているのであまり怖く感じない。「黒石」とかよく家に持って帰ろうと思うなあ。高田公太はしっかりした文体で因果を想像させる厭な話が多かった分、逆にいい話が印象に残った。サコちゃんとコンタくんの「マットレス」が一番好き。2025/06/03
キー
6
オカルトコレクター・田中俊行氏と、青森在住の怪談作家・高田公太氏の怪談集。2025年作品。 本の前半が田中氏の怪談で、後半が高田氏の怪談、という構成。 田中怪談は、オカルトコレクターらしく、曰わく付きの物に関する怪談が印象的。 高田怪談は、崩壊していく家族に関する怪談が印象的ですが、ショート怪談を織り交ぜたり、巻末には心暖まる怪談を配置したりと、後半は高田氏の作家としてのバランスの良さも感じさせられます。2025/06/29
霧月
6
読了。両著者ともに好きなので俺得な一冊。タイトル通り、呪、念、魂、という言葉が頭をよぎる話ばかり。恐い話もあれば、家族愛を感じる話など様々。全体的に好みの話が多いんだけど、物凄くインパクトがあって頭に残るような話は個人的にはなかったかな。一つ挙げるとしたら「ものおと」、不可解な気味の悪い話。こういうなんとも言えない感じが良い。それにしても他の方が書いてた168Pの誤植は笑うしかなかった(笑)2025/06/01