内容説明
世の中にあふれている誰かが描いた紛(まが)い物の物語。それらは時にあなたの行く手を阻んだりもする。その話はあなたの物語ではない。「書いたり」「読んだり」を通して、自分の内にあるあなただけの物語、あなただけの希望を見つめてみよう。
目次
第1章 夢と生きづらさ/マンガ家という夢? /物語に出会う/ことばにならない生きづらさ/自分の夢を語れなかった/第2章 溶けるもの、溶けないもの──決めつけの正体/ほんとうのわたし/真実とは何か/個が紡ぐ真実/書くことが教えてくれた/書くことでわかること/第3章 書いてみよう/言葉を点検してみよう(1)/言葉を点検してみよう(2)/もう一度、言葉の点検を繰り返してみよう/第4章 字スケッチをしてみよう/揺れながら書いてみる/メモからはじめる/字スケッチ1・0の例/無作為に単語を選んでみる/字スケッチ1・1の例/字スケッチゲームをやってみよう/フィクションを書いてみよう/第5章 自分の物語は/わたしが伝えたいこと/本を読むということ/再び、書くことの意味/次に読んでほしい本
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪丸 風人
14
意外なまでの繊細さで、自身を苦しめていた過去を洗いざらい打ち明けるくだりは共感の連続。ギュっと掴んできますね。そこからどう救い出されたのか、友だちに語りかけるような文章で書き連ねられていて、ふんわりハートを包まれるような感覚を味わいました。ハッとさせられたのは、どんなに巧みに描かれた言葉でも、そこに血肉が通っていなければ読む価値がないという部分ですね。著者の内から湧き出た「表現することで心が軽くなる」という気づきは、人生を賭けて得られた値千金の言葉なのだと感じ入りました。(対象年齢は12歳以上かな?)2025/06/14
せらーらー
6
いまスタバで読み切った。不覚にも泣いている。こんなに励まされた本は初めてかもしれない。文章を書くということは、生きること。近藤康太郎氏も同じことを言っていたが、あさのさんはより柔らかく寄り添って伝えてくれた。他人の絶望物語に巻き込まれてはいけない。なぜならあなた個人の人生なんだから。主語は「わたし」である、いつの世も。なぜか読んでいて自分の思春期時代を思い出した。当時の父は鬱病。死人のような表情、雑多な居間、狭苦しい部屋に布団を延べていた。その父の年齢をとっくに超えた今の私。父の辛さを思い出した。2025/06/23
晴
4
”絶望の物語”がはびこる現代にのみこまれない方法として、自分のなかの物語を言語化してみよう的な本。特に2章の「書くことは掻くこと」というところと、3章の言葉の点検という名の言語化作業がおもしろいなと思いました。2025/02/04
おと🦁🐾
3
囲い込まれ、溶かされ、容易く数値化されてしまう。それがわたしたち。でも、わたしたちは数字ではない。笑って泣いて、他人を愛したり憎んだり、僻んだり羨んだり、救ったり救われたりして生きてきた人間。書くことは掻くこと。書くことで数字ではないわたしという個を示し、自分自身に、他の誰かに示す。わたしたちをただの数字に貶め、人間として扱おうとしない者たちと戦う。ここに個があると伝える。2025/05/05
桜乃💮
3
物語とか「何かを書いてみたい」と思って手に取った本。言葉を点検する、字のスケッチをするなど、なるほど!こうして書いていくのかと楽しく書くことについて学べた。2025/04/23