ちくま学芸文庫<br> 色彩について

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ちくま学芸文庫
色彩について

  • ISBN:9784480512840

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内容説明

色の概念の論理は見かけ以上に複雑だ──。病床にあった晩年のウィトゲンシュタインは、ゲーテの『色彩論』に触発され、死の直前まで「色彩」の問題を考察し続けた。透明で白いガラスはなぜ想像できないのか、「赤っぽい緑」というような色はありうるか、全員が色盲である民族を想像してみよ……。『哲学探究』で示された「言語ゲーム」などの視点を採り入れた「色の論理学」ともいうべき思考実験は、われわれが自明視しがちな色彩概念を根本から揺さぶり、深い探究へと読者を誘う。同時期の遺稿『確実性の問題』にも通底する点がみとめられる、晩期の思想が端的に表れた断片集。

目次

編者まえがき/凡例/第I部/第II部/第III部/第I部と第III部の対照表/解説 村田純一/訳者あとがき/文庫版訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

∃.狂茶党

16
色彩論。 ゲーテの『色彩論』が度々出てくる。 認識の枠組みを問う試みと思われる。 三つに分かれていて、第3のパートでは、色彩から話が逸れて、もとい広がっていく。 最晩年の記述であるが、生きていたら色彩を離れた部分が、もうちょっと書き継がれていたのかも。2025/08/04

春ドーナツ

14
頭の体操をしているような読書感でした***先日、それほど間をあけずにラッセルの書物を紐解いていた。ラッセルというと、なんかヴィトゲンシュタインに翻弄された人、という個人的なイメージがある。で。ラッセルを読みながら、ヴィトゲンシュタインのことが頭の中にあったまま、ある日「WEB本の雑誌」の新刊コーナーで、本書の文庫化を目の当たりにしたものだからびっくりした。たとえば、この本は私のために書かれたに違いない、みたいな感じの奴です。何事もそうだろうけれど、突き詰めて思索を深めていくと、世界の訳の分からなさに唖然と2025/02/08

Ex libris 毒餃子

14
色を認識する行為を論理学の視点から執拗に考察する本。『論理哲学論考』で語り得るものの範囲を限定していく作業と似たように色について論理学的に論証可能な点を探っている。認識は現象学の得意分野だがヴィトゲンシュタインはあくまでも論理学で対象を扱う。特に文章としては成り立つが実在があり得ないものや灰色について、または色覚多様性のあり方が俎上に上がる。2025/01/30

o

2
ある命題は論理的関係性を持つことがある(否定命題、やmodus ponensなど) しかし、全ての命題が要素命題の真偽に還元されることはできない 論理的関係性を持ちながら要素に還元できない対象、言い換えると独立の(あるいは非独立かもしれない)論理的空間、幾何学を持った対象としてウィトゲンシュタインは色を考察する 決して単純とは言えない、色の同一性の論理、透明色の論理、色のついた斑点と印象の論理、盲目の論理等々についての断片集2025/06/26

遊動する旧石器人

2
2025年1月10日第1刷発行。色と括られる物達が単一の論理では説明不可能なことを述べ、そしてそうした色を認知している人間の認知についてまで考察が及ぶ1冊。つまり、1つの色に関しても、我々が皆同じ認知をしているとは限らない。このことで思い当たるのは、考古学の発掘調査における土層の色調である。この色調の記載にあたっては、基準が必要であることから土色帖を用いて判断することも行われるが、それでも個々人の眼での判断であり、機器による判断も導入されつつある。だが機器が判断した色を人間が識別できない場合も十分にある。2025/06/25

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