中公新書<br> イタリア食紀行 南北1200キロの農山漁村と郷土料理

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中公新書
イタリア食紀行 南北1200キロの農山漁村と郷土料理

  • 著者名:大石尚子【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 中央公論新社(2025/04発売)
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  • ISBN:9784121028532

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内容説明

隣町に行けば言葉もパスタも変わる――。
イタリア料理は味わいのみならず、多様性が魅力。地域の風土・歴史に根ざした食材や伝統料理法が受け継がれているのだ。
著者は南・北・中央・島々をめぐり、ポベラッチャ(貧乏食)の知恵を足と舌で探る。
またアグリツーリズムや有機農業、スローフード運動など、地域再生のソーシャル・イノベーションにも注目。
人口減少が進む日本の地方にとって、有益なヒントが満載。写真多数。


はじめに―食と社会の未来を求めて
世界初・食をテーマにしたミラノ万博  日本とイタリアの類似性  農村が未来を切り拓く

第1章 身土不二―地域に根ざした食の多様性
ランチは家でマンマの手づくり  まちにあふれるメルカート―野菜・畜産・魚介  隣町に行けば言葉もパスタも変わる  ハレとケ―イタリア料理の誕生と南北問題  資本主義競争に打ち勝ってきたブランド力  知と融合するス
ローフード運動  よみがえる農業/農村―その背景

第2章 北イタリア―トリノ・ヴェネト州・ボローニャ
1アルプス(山)とパダーノ(平野)が育む芳醇な食
自治都市国家の形成と経済発展  アルプスの麓・丘陵地帯
の極上食材  全世界から若者が集まる小さな田舎町・ブラ  エトルリア時代から伝わるポー平原の食文化
2伝統×若者―食の新たな価値創造へ
過疎地のワイナリーで景観を守る二人の若者  伝統手法によるシャンパーニュよりも上品に―プロセッコ  暮らしの質を保障するスローシティ  肥沃な土地が極上生ハムを生み出す伝統  食のテーマパークFICOと食問題を解決するボローニャの企業  障がい者雇用と廃棄食削減に挑戦する世界的シェフ  脱工業から持続可能な都市へ

第3章 中央イタリア
―ローマ、トスカーナ、ウンブリア州
1アグリツーリズムが育む地域食と農村コミュニティ
実はローマは田園都市  素朴で等身大のアグリツーリズム  トスカーナとフィレンツェ  トスカーナの持続可能なアグリツーリズム  トスカーナの世界最高牛―誕生秘話  
無駄なく美味しく農村を守る田舎料理・リボッリータ
2上質の暮らしをブランディングする都市農村の戦略
下町文化あふれるトラステヴェレ  ローマ発の屋内ファーマーズ・マーケット  イタリアを有機農業先進国にした小さな農村・ウンブリア  異業種のつながりが地域を盛り立てる

第4章 南イタリア―バーリ・フォッジャ・ファザーノ
1 イタリアの胃袋を支える農業地帯プーリア
ギリシャ時代以来の異国支配ゆえの伝統  イタリアの胃袋
を支えるオリーブの一大産地  デュラム小麦と極上のパン  日本人より生魚介を食べる唯一の地域  「最も美しい村連合」  人口二万以下のまちに四〇軒以上のレストラン  ラティフォンド(大地主制度)解体の余波  アフリカからの移民受け入れをめぐる試行錯誤

2 ポベラッチャ(貧乏食)の知恵
粉挽き場という公共空間  一六世紀以来の石窯―藁焼きの懐かしい香り  大地に誇りを取り戻すカリスマシェフ  水車で挽き立て小麦の絶品フォッカッチャ  人間関係が広がる若手集団ヴァザップのワークショップ  「農地でどれだけ多くの関係性を築けるか」

第5章 島々―アグリジェント(シチリア)・サルデーニャ
1 多様な文化が交錯する島々
文明の十字路・属国としての島々  サルデーニャとシチリア―異なる歴史  マフィア・山賊を生み出した統治  伝統的食材の宝庫・シチリア  世界五大長寿地域サルデー
ニャの食文化  景観を公共財として保護するガラッソ法
2 時空を超えてよみがえる伝統食と暮らし
伝統的製法による塩づくり(トラーパニ)  女性が守るサルドの伝統的チーズ、カーチョ・カヴァッロ  一二人の若者がよみがえらせた小さな村  過疎地でたった一人始めた若者の挑戦  ITを駆使したミクロミュージアムで地域再生  シチリアの保存すべき無形資産・穀物  移民少年たちをイタリア食農文化で包摂する

おわりに―日本は何を学ぶべきか
農業・農村に求められるソーシャル・イノベーション  ソーシャル・イノベーションとは  EUのボトムアップ型食農政策―補助から革新の支援へ  イタリアから日本が学べること
コラム パスタの種類(ロングパスタ)
 EU地理的表示(GI)とは
 自家用魚醤コラトゥーラで地域おこし
 イタリアワインの格付け
 進む若者移住―トリノ大学と限界集落の連携  69  EU地域開発政策―LEADERプログラム

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すくすく

6
イタリアの食と生産品の付加価値を訴求する仕組みと農村の活性と…。各地域の食のこだわりが伝わって来る。著者のフィールドワークの範囲の広さを知る。もっとイタリア食に前提知識があったらもっと面白く読める気がする2025/05/19

預かりマウス

5
題名からイタリアの食文化とそれにまつわる各地の歴史やエピソードを辿る内容かと思っていたが異なり、産業的・農業経営的な観点、それもSDGs的な、コンテンポラリーな内容が大半となっている。歴史についても特に島嶼部の章は触れられているが全体的には少ない。アグリツーリズム、スマート農業、有機農業、六次産業化、地産地消、若者の農村回帰等々、日本でも話題になっていることはイタリアでも同様なグローバルな課題であることがわかる。ミスリードな表題であり内容も少しSDGs感が強すぎるのだが、読んでいて落ち着く文体ではあった。2025/07/21

pushuca

2
食だけではなく、イタリアの歴史・地理にもやたら詳しくなった。2025/07/19

お抹茶

1
衰退する農村のソーシャル・イノベーションの話題も多く交えながら,イタリア各地の食文化を記す。「イタリア料理」は19世紀まで存在せず,多くの貧農世帯でマンマが工夫したレシピが郷土料理になっていた。エミリア=ロマーニャでは資本主義的営農が発達したが,食文化や景観を壊すと言ってイタリア人消費者は喜ばない。プーリアはオリーブオイルや乾燥パスタの種類が豊富で,パン,ソーセージ,魚介類もおいしく,農村・農業の変革者のハブになった。シチリアの農業はイスラム統治時代に発達し,柑橘類,砂糖を使った料理や菓子,ワインが有名。2025/06/05

Go Extreme

1
南北1200キロの農山漁村と郷土料理 消滅の危機に瀕する地域の食文化 粗放的農業 田園回帰の動き 景観も公共財として保護する長い歴史 スローフード運動 気候変動による伝統的生産加工の困難 質素ながら食材を大切にする精神 経営者が農業者であるアグリツーリズム ピエモンテ州の伝統派とモダン派 オレッキエッティという手作りパスタ イタリア最大のオリーブオイル生産地プーリア トゥルッリという税金逃れのための構造 プレセーペ エディブル・エデュケーション 若手デザイナーによるマイクロミュージアム・プロジェクト2025/05/05

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