内容説明
巨匠による端正で緻密な謎解きシリーズ第2作
ガラス職人のイヴが首を切り裂かれた父の遺体を発見した。凶器はイヴが作った花瓶でマシュー警部は慎重に聞き込みを進めるが……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
534
好き嫌い分かれそうな作品。著者の持ち味は存分に発揮されており、結果としては犯人の抱える闇の演出もなかなかのもの。しかし、地道な捜査をひたすら描写しておきながら、物証なしの仮説(しかも思いついたのはマシューではない)から一気に解決にいたる流れや、殺人と連続自殺が物語の中で上手くリンクしておらず、魅力的な題材を活かしきれなかったこと、とりわけフランクの死は完全に蛇足でしかない点などが、ちょっと甘すぎる気もする。マシューの同性愛婚も、本当の意味で掘り下げきれていないからか、感情移入の妨げになってしまっている。2025/06/07
ナミのママ
88
シリーズ2作目。自分の仕事場で父親の死体を見つけてしまう、とても殺伐とした事件の始まり。今作も風景描写に加え、登場人物一人ひとりの何気ない生活が丁寧に描かれている。マシュー以下チームメンバーの個性がよくわかり人物像が浮かんでくる。スピード感ある作品が増えた感がある現代に、一針ずつ布目を追うような緻密な文章に深呼吸をして向かい合った。堅物マシューが少しずつ変わっていくのも楽しみの一つ。事件は思いがけない犯人でサイコパスか、不気味さを感じる。それにしても被害者はこれから立ち直れるのか、それが心配。2025/05/10
キムチ
64
長すぎる・・暫くこの手は勘弁。とはいえ、押し作家だけが持つ魅力は充足感が。小さな島と濃い人間関係がち密に。。人間関係を横糸に自然環境を縦糸に紡ぐ。シェトランドシリーズは皆ドラマで見たんで登場人物の顔まで脳内スクリーンに。中盤まではなかなか自分の中に消化しきれずだったがクライマックスを迎える辺りは「大鴉・・」「哀惜」で舌を巻く”人間の業とそこから不本意に歪んで行く人間の哀しい軌跡”を見る∼巧いなぁ。筆者に酔えるのはそこ!水清ければ魚住まぬ・・誰しもが持つ黒白の危ういバランス・・その辺のビブラートは逐語読みに2025/08/20
minami
46
シリーズ第二弾。読み始めてすぐに大好きな雰囲気だったことを思い出した。前回にも登場したダウン症のルーシーが幸せそうに暮らしていて嬉しかった。ある青年が自殺したことから連続殺人事件と繋がり、捜査にあたるマシューの相変わらずの落ち着きと判断力と彼の夫ジョナサンの性格の対比も面白い。そして捜査メンバーのチーム力が上がっているのも嬉しい。私は本当にチームの熱い力が大好き。自然描写も美しく、どっぷりノースデヴォン地方の海にも魅了された。楽しみなシリーズで、登場人物たちもそれぞれとても魅力的なのでぜひ追いかけたい。2025/07/31
星落秋風五丈原
37
男性の恋人がいる、やり手のマシュー・ヴェン警部シリーズ第二弾。今度も彼の夫ジョナサンがかかわるコミュニティで事件が起こる。ジョナサンが複合施設を運営しており、そこには様々な人が出入りする。こう言っては何だが、容疑者、被害者、そして事件の宝庫である。ジョナサンは当事者として関係者に関わり、マシューはあくまで捜査する者として関わる。一方は善性説を信じ、一方は職業柄必ず誰かが何かを隠していると思わなければならない。衝突、摩擦も起こるが、お互いの愛情が最後は融和剤になる。2025/05/28
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