内容説明
巨匠による端正で緻密な謎解きシリーズ第2作
ガラス職人のイヴが首を切り裂かれた父の遺体を発見した。凶器はイヴが作った花瓶でマシュー警部は慎重に聞き込みを進めるが……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
542
好き嫌い分かれそうな作品。著者の持ち味は存分に発揮されており、結果としては犯人の抱える闇の演出もなかなかのもの。しかし、地道な捜査をひたすら描写しておきながら、物証なしの仮説(しかも思いついたのはマシューではない)から一気に解決にいたる流れや、殺人と連続自殺が物語の中で上手くリンクしておらず、魅力的な題材を活かしきれなかったこと、とりわけフランクの死は完全に蛇足でしかない点などが、ちょっと甘すぎる気もする。マシューの同性愛婚も、本当の意味で掘り下げきれていないからか、感情移入の妨げになってしまっている。2025/06/07
ナミのママ
92
シリーズ2作目。自分の仕事場で父親の死体を見つけてしまう、とても殺伐とした事件の始まり。今作も風景描写に加え、登場人物一人ひとりの何気ない生活が丁寧に描かれている。マシュー以下チームメンバーの個性がよくわかり人物像が浮かんでくる。スピード感ある作品が増えた感がある現代に、一針ずつ布目を追うような緻密な文章に深呼吸をして向かい合った。堅物マシューが少しずつ変わっていくのも楽しみの一つ。事件は思いがけない犯人でサイコパスか、不気味さを感じる。それにしても被害者はこれから立ち直れるのか、それが心配。2025/05/10
タツ フカガワ
89
女性ガラス職人のイヴが仕事場で、父ナイジェルがイヴの作った花瓶の破片で喉を刺し貫かれた姿を発見する。捜査に当るのは同性婚の警部マシュー、シングルマザーの部長刑事ジェン、手柄を逸る若手刑事ロス。やがてナイジェルが患者救済組織の所長として、鬱病だった19歳のマックが自殺した経緯を調べていたことが判明する。主に先の3人の刑事たちの視点で進む警察小説で、前作『哀惜』同様、彼らの公と私がそれぞれ濃密に描かれていて、そこから浮かび上がる人物像がお見事。鼻の奥がツンとくるラストもよかった。次作も楽しみです。2025/10/23
キムチ
73
長すぎる・・暫くこの手は勘弁。とはいえ、押し作家だけが持つ魅力は充足感が。小さな島と濃い人間関係がち密に。。人間関係を横糸に自然環境を縦糸に紡ぐ。シェトランドシリーズは皆ドラマで見たんで登場人物の顔まで脳内スクリーンに。中盤まではなかなか自分の中に消化しきれずだったがクライマックスを迎える辺りは「大鴉・・」「哀惜」で舌を巻く”人間の業とそこから不本意に歪んで行く人間の哀しい軌跡”を見る∼巧いなぁ。筆者に酔えるのはそこ!水清ければ魚住まぬ・・誰しもが持つ黒白の危ういバランス・・その辺のビブラートは逐語読みに2025/08/20
yukaring
66
〈マシュー・ヴェン警部〉シリーズ第2弾。派手な事件やカリスマ的な登場人物がいるわけではなく、どちらかと言えば地味なのに味があって引き込まれるのはアン・グリーブスの語りの巧みさ。ガラス職人のイヴが自宅で父親の遺体を発見する。しかも凶器は彼女の作品の割れたガラス。しかしショックを受ける間もなく次の遺体が見つかって…。地道な聞き込みにより過去の自殺事件や自殺サイトの存在が浮かび上がるが、中々繋がらない点と線。人々の悩みや葛藤、人間模様などが等身大で共感できる。そして人の心に潜む闇と狂気。じっくりと読みたい1冊。2025/12/23




