岩波新書<br> 植民地朝鮮と日本

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岩波新書
植民地朝鮮と日本

  • 著者名:趙景達【著】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2025/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004314639

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内容説明

1910年,日本の植民地となった朝鮮は,武断政治といわれる強大な憲兵警察体制下におかれた.1919年の三・一運動をはじめとする民族運動・民衆運動,文化政治への転換,植民地下の近代,独立運動の苦闘の中で生みだされたさまざまな思想,戦時下の「内鮮一体」の実態等を述べ,植民地支配の本質を明らかにする通史.

目次

まえがき
第一章 日本の軍事支配
1 武断政治の成立
2 武断農政と産業政策
3 同化政策と地方統治
4 武断政治下の民衆
第二章 三・一運動
1 独立機運の到来
2 三・一運動の展開
3 三・一運動と日本
第三章 文化政治への転換
1 文化政治の成立
2 実力養成運動
3 経済政策と海外移民
第四章 民族運動の展開
1 文化運動と民衆
2 社会主義運動と民衆
3 海外の独立運動
4 新幹会運動
第五章 植民地の近代
1 植民地の社会と文化
2 近代化と民衆
3 植民地のナショナリズム
第六章 文化政治の終焉と日本人
1 社会主義運動と農村振興運動
2 心田開発運動と文化政治の終焉
3 在朝日本人の世界
第七章 戦時体制と朝鮮
1 「内鮮一体」と総動員体制
2 知識人の戦争協力
3 総動員と民衆
第八章 戦争と解放
1 十五年戦争期の独立運動
2 戦争と反抗
3 朝鮮の解放
おわりに
あとがき
略年表
主要参考文献
キーワード

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

coolflat

17
岩波新書『近代朝鮮と日本』の続編で、1910年の韓国併合から1945年の日本の敗戦までを扱っている。要は植民地朝鮮の通史である。50頁。総督府の武断政治は、朝鮮の伝統的な政治文化の否定の上に行われた。異議申し立てを認めない総督府政治は、朝鮮人にとって理解不能であり、朝鮮民衆は、総督府との間に共有する政治文化がないことを実感するようになった。それゆえ、民衆の民族意識は鬱屈しつつ蓄積されていったが、3.1運動はそうした民衆の民族意識が一挙に噴出したものであった。2020/03/12

みなみ

10
本書は「近代朝鮮と日本」の続編なのだが、そうとは知らず単独で購入した。日本による韓国併合から始まり日本の統治政策を記した1冊。朝鮮半島側から見た日本の植民地支配がいかなるものだったか、通史で学べる。武断政治から三・一独立運動が起こると日本側が朝鮮人を恐れて……というくだりは、ここまで苛烈にやっておいてなにを、という気持ちになる。朝鮮半島の民本主義や独自の風習など、日本から見るとわからない部分に筆が割かれている。あまりにも無遠慮に他国を踏み躙り、そのことを日本人がよく知らないのは罪深い。2025/01/09

ceskepivo

8
日本の植民地時代の朝鮮半島の歴史を知りたくて読んだ。統治制度、経済、文化、独立運動など学校では習うことのない歴史である。ただし、朝鮮人が第三国への帰化を禁止されていたことなど、出典が明記されていない部分は、どこまでが事実であるか確信は持てない。しかし、日本人として自国を誇りに思うのであれば、負の歴史にも目を向けるべきであろう。吉野作造が3.1運動を支持していたとは知らなかった。2015/01/06

二人娘の父

7
驚くほど自分は日本の朝鮮支配の史実を知らないことを思い知る。歴史的経過を順に追って、支配の実相と朝鮮人民内部の動向を記しているので、理解はしやすい。一方で「儒教的民本主義」「一君万民」などの概念で朝鮮の伝統的な政治風土を表現する。これはやや理解しにくい。前著からの宿題でもある。いずれにしても「解放」後のさまざまな政治的激動と朝鮮戦争、その後の分断などの歴史を考える時に、日本帝国が行った支配について、現代の日本社会があまりにも無知・無関心であることに、忸怩たる思いがする。日韓問題理解の土台のはずなのだが。2023/03/25

瓜月(武部伸一)

6
前著「近代朝鮮と日本」に続き、植民地下朝鮮を「儒教的民本主義」をキー概念として描く。後発の帝国主義国日本は、植民地朝鮮の経済社会を、原料供給基地へと暴力で改造していく。例えば棉花栽培が強制的に「奨励」され、低価格で買い上げられる等々。この結果、疲弊困窮した朝鮮農村から人々は都市へ、満州へ日本へと流れ行く…。日本軍政と闘う朝鮮人に通底する心情として「儒教的民本主義」があると著者は言う。しかしこの意識は、一君万民思想による権力集中、名士主義による派閥抗争の土壌になるとも。そして朝鮮は1945年の解放を迎える。2022/04/11

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