内容説明
「日本は無条件降伏をした.私はただ,恥ずかしかった」――表題作ほか,「故郷」「散華」「竹青」「十五年間」など,第二次大戦敗戦前後の昭和17(1942)-21年に発表された14篇.未曽有の混乱期に,そして訪れた〈新時代〉に,忠実に生きようとした作家の姿が浮かび上がる.(注=斎藤理生,解説=安藤宏)
目次
十二月八日
水 仙
待 つ
花 火
故 郷
帰去来
作家の手帖
散 華
雪の夜の話
竹 青
庭
貨 幣
十五年間
苦悩の年鑑
注(斎藤理生)
解説(安藤 宏)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
39
第二次世界大戦の前後に書かれた短編集になります。混乱の時代、訪れた新時代に忠実に生きようとした太宰の姿が窺えます。時代に真摯に向き合ったからこその作品の数々に共感するのは自分本位の中にある何かが太宰の混沌とした部分に共鳴するからでしょう。だから私は太宰を読むのだと思います。2025/08/19
まどの一哉
4
14編のうち「水仙」「花火」は既読であったが、この2作は破滅型の人間を描いて鬼気迫る秀逸の出来栄え。さすがに太宰だ。自分を天才画家と思い込み、夫を捨てて虚飾に溺れる女性。コンプレックスの塊でいい金づるにされて家計を破壊する長男。私小説でない作品の面白さは群を抜く。2025/04/11
hroko
1
長時間、電車で移動するときは、岩波文庫が良いなっていうのは、いつからかの習慣で、今回はこれでした。時代精神を理解しなければ、著者の本意は分からないけど、令和に読む、そういう読みかたです ... 2025/08/09
うさえ
1
戦中から戦後にかけての太宰治短編集。「走れメロス」か「人間失格」しか読んだことのない人にも、コアな太宰ファンにも、楽しめる一冊だと思う。「花火」は何度か読んでいるのだが、いつも最後のセリフを忘れていて、ハッとさせられる。驚いたり、納得したり、切なくなったり、それぞれの感想を大事にしながら、太宰文学を次代に送り届けて行きましょう。2025/04/27
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