内容説明
被害者の視点を無視する政治に価値はない.感情や主観による声を切り捨ててきた従来の政治理論を批判し,名もなき市民による「不正義の感覚」こそが民主主義を成立させる理由を明快に説き起こす.「恐怖のリベラリズム」で知られる現代政治哲学の巨人シュクラーによる,もう一つの「正義論」.
目次
まえがき
はじめに
第一章 不正義にふさわしい地位を与える
第二章 不運と不正義
第三章 不正義の感覚
訳者解説
訳者あとがき
原 註
キーワード
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そらないわ
3
タイトルのとおり、不正義についての考察。文学作品を例にとるなどしてかみ砕いているが、それでもよくわからん。訳者解説がよくまとまっているので、それだけでもよいかも。不正義についての感覚が少し身に覚えがあるので、新しい見方がひらけたような。だが、感覚は個人的なため、その解決は難しい。政治的絡みも。2023/11/01
スコットレック
2
文章は難しいが、理解できなくはない。さらに深く理解するには少なくとも何回も読む必要があると思わせる。(本書の翻訳を担当された御三方の尽力の賜物)この塩梅が絶妙。最後の方で本書は約30年前に書かれたものと知って仰天!読んでいて全く気づかなかった。30年経ったいまでも全く古びていない。だからこそおどろいた。本書のテーマは人類にとって普遍的なもの。そして30年という期間くらいでは社会はそう簡単には変わらないということか・・。2023/10/14