ルポ 人が減る社会で起こること - 秋田「少子高齢課題県」はいま

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ルポ 人が減る社会で起こること - 秋田「少子高齢課題県」はいま

  • 著者名:工藤哲【著】
  • 価格 ¥2,420(本体¥2,200)
  • 岩波書店(2025/04発売)
  • ポイント 22pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000245586

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内容説明

秋田は日本の未来だ――.世界最速ペースで進む日本の少子高齢化.中でも最も進行が早い世界最先端の高齢化地域・秋田でいま何が起きているのか?人が減ったエリアで増加するクマなどの獣害,警察官,公共交通や農業の担い手不足,活かせない観光資源など,首都圏を除くあらゆる地方が直面する課題を現地から報告する.

目次

はじめに 「少子高齢課題県」のいま
第1章 人口減少の現在地
一時間三〇分の壁
「八〇歳祝い金」をめぐり対立
二七億円の財政調整基金が七年で三七〇〇万円に
シニア世代「祝い金残して」
広域化など見直しを迫られる医療現場
上がる一方の医療コスト
過疎地を回る医療機器搭載車
事業の後継者がいない
公共交通の未来
リクルートに励む自衛隊や県警
主要任務になった高齢者の保護
蔓延する詐欺被害
加害側に取り込まれる若者たち
詐欺を何度も防いだコンビニの店長
実店舗の減少と「ネットショッピング詐欺」
片側一車線とスピードのストレス
秋田道開通の経済効果
瀬戸際の固有種「ジャンボうさぎ」
秋篠宮さまとジャンボうさぎの縁
若い女性の転出超過が続く
東京より二〇年人口構造が高齢化
秋田は「高齢者の声ばかり」
秋田の危機は全国に拡大する
第2章 迫るツキノワグマ 増え続けるクマの被害
住宅密集地のスーパーに二日間入り込んだクマ
住宅地での出没への不安
二〇二三年の負傷者は過去最高の七〇人
走る速さは人の数倍
負傷は目を中心に頭や首に集中
山間地に潜む「人を襲うクマ」 現場で死者も
タケノコ,山菜採りでクマに遭遇
襲撃の現場で何が起きていたか 関係者の証言
防止対策はほとんど取られず
周辺一帯は「クマだらけ」
狙われた特産栗の林 収穫も命がけ
伐採される栗や柿の木 変わる風景
地元の小中学校には「クマよけ鈴」
迫られるハンターの世代交代
クマと人 共存の模索
人口減少や集落の衰退でクマの行動域が拡大か
クマによる負傷の特徴は頭と顔の重傷
ヘルメットなどの頭の防護具が有効
第3章 しょっぱさの壁 豊かな食文化と塩分
「しょっぱい味」 外来者には壁?
しょっぱさのうまさを生んだ風土
県北の味 きりたんぽと馬肉
「しょっぱい県」の歴史
「秋田魁新報」による一九六〇年代のキャンペーン報道
「減塩音頭」をリニューアルしたが浸透せず
昔ながらの味を変えるのは難しい
脳出血を経験した佐竹知事の実感
「食改善のボランティア」不在の地
「しょっぱい味」と「豊かな食文化」
大陸との往来の歴史 「北の海みち」
ナマハゲの来た道 渤海国との交流
「動く総合商社」北前船でさらに豊かに
石破首相の演説ににじむ「日本海側」の心情
米どころのプライド
東北地方は同質の社会ではない
時代ごとの層が積み重なってつくられる「県民性」
青森発の「魅力のラーメン」
青森は「だし活」で減塩
積極的にPRを続けた三村・前青森県知事
英国に倣い「無意識の減塩」を
岩手では減塩ⅸ油
世界文化遺産の「縄文食」体験
「本物の自然の味」を知る
第4章 もったいない秋田
男鹿半島のゴジラ岩 観光名所を作り出す
台湾の観光客が見出した八幡平の「ドラゴンアイ」
個人の藤園が観光スポットになった「十ノ瀬 藤の郷」
「安すぎる料金」への懸念
「料金変動」を取り入れたアジサイ寺
プロバスケットボールチームはフレックス価格を導入
「しっかり稼ぐ」余地はある
柿の実を集めながら見えてきた秋田の現実
「未利用魚」にも可能性
発展のカギは「女性の活躍の推進」と「多様性を広げること」
「ええふりこき」と「何もない」の裏にある息苦しさ
おわりに 問われる地方ジャーナリズム
デジタル最前線の上海から秋田へ
地方取材の発信が縮小しつつある
記者が「提案」や「情報交換」することの意義
東京一極集中は「リスク」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

54
まさに身近で痛いほど感じているテーマ。具体的なことが書かれていて、考えることが多い。根っこにあることを考えず、表面的なことで済ませている今の風潮を考える。すべてのことに当てはまること。中長期の視点を持てるかどうかに尽きる。2025/06/07

まー

15
秋田県における人口減少に関する本書は秋田だけでは無いのは勿論他の地方都市での問題 秋田の独特の文化も交えて問題を提起していました 秋田県にルーツが在るので読んでとても興味深く読ませて頂きました2025/06/18

shikada

14
年間1万人以上が減り、少子高齢化がどこより早く進む秋田県の現状をまとめたルポ。シニア世代へのお祝い金の廃止が可決されないシルバー民主主義現象や、降雪地帯ゆえの移動(医療)コストの高さ、中小企業の後継者不足、人が減ることによるクマの侵出など課題を抱えている。魅力的な雇用がなく、若者が流失し続けるのがいちばん痛いように思う。書籍の後半は、秋田の食文化と観光地紹介的な内容で、タイトルと直接的に関係しない話のように思った。2025/06/21

ドラマチックガス

12
人が減る社会で起こることに関心があり読んだけれど、それに触れているのは一部で、基本的には「秋田県の課題と可能性ー人口減少、クマ、食生活、観光から」と言う感じだった。それぞれのパートは面白い。ただ、しりたいことについてはやや消化不良。上の世代が進学などで秋田を離れる若い世代に「なにもないところだし無理に帰ってこなくていいんだよ」といってしまうことの問題点、というのは案外重い。面白い取り組みはあっても、横のつながりがなく広がらないというのも。これこそ、著者らマスコミの腕の見せ所なのでしょう。2025/06/16

青雲空

8
後半はやや本論から外れていた(秋田の塩分摂取量の話)が、前半は読みごたえあり。今年も春からクマが秋田市街地に出没しているが、これはクマとヒトの緩衝地帯だった里山にヒトが入らなくなったため。こういうところにも人口減の影響が現れてくる。 2050年高齢化比率が45%を超える社会。何を守り何を捨てるか、待ったなしの時期が来ている。 2025/05/03

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