内容説明
この本は、日本語での私の最初の刊行物となります。日本に招聘されたときには限られた人数としか話を共有することができませんでしたが、それをこうしてこの国の読者らと広く共有できるようになったことは、たいへんうれしく思います。
私がパレスチナ問題に関わるようになってからもう三〇年以上になりますが、人びとと話をしていても、世界に数ある紛争のうちのひとつについてさえ、それに耳を傾けさせたり、何か行動を起こさせるというのは、本当に難しいことです。
そうした世界の紛争のなかには、パレスチナにおける紛争よりもはるかに暴力的で血なまぐさいものもあります。しかし、パレスチナの紛争というのは、世界全体の安定と平和にとって決定的に重要な意味をもち、日本に対しても影響を及ぼします。日本を訪れたときに、多くの人びとがパレスチナについて気にかけ、あらゆる方法で手を貸そうとしているのを知り、心温まる思いがしましたし、力づけられました。日本の人びとがパレスチナについて実に広範な知識をもち、深くコミットしているのを見て、驚きもしました。
そうしたなかで私の使命は、傍観者ではいられないユダヤ人の倫理の声を届けることだったと思います。(日本の読者へから)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
62
講演録。パぺはイスラエルの「神話」・歴史叙述に異議を唱えた同国の歴史家の一人で、本書でもこれについて語られます。印象に残ったのは「橋渡しのナラティブ」という考え方で、それは例えば1948年の建国を奇跡とするイスラエルと、ナクバ(災厄)とするパレスチナの2つの歴史の見方・ナラティヴがあるが、これに沿って二国家に分けるのではなく、両者の対話により「共生の領域」を探ってゆこうとするもの。それが、南アの事例などを挙げながら示されて、最後は、それが必要な様々な場所で対話が進められていることを祈りつつ本を閉じました。2024/06/25
100名山
3
「パレスチナの民族の浄化」で1948年のパレスチナにおけるイスラエルの蛮行を克明に記したイラン・パペ氏が2007年3月に来日して3月の8,9,10日に開催された講演の全訳です。講演も然ることながら質疑応答も見事です。ナラティヴという言葉が鍵になりますが、問い続けることが無駄ではないと書かれていますが、これらの本を読むことも同じ行為だと思いたいです。2018/09/07
jam
2
パレスチナ問題、イスラエルとパレスチナどっちもどっち、のように捉えられてしまいがちだが、この本を読むと明確にイスラエルの側がパレスチナを侵略したのだということがわかる。民族浄化の恐ろしさ。メディアも「中立」ぶるのはやめてイスラエルを止めよう。2023/12/24
akio.futai
0
取りたい記述の解釈のむずかしさよ...2014/06/28
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