内容説明
新型コロナウイルスが蔓延する2020年春、手話通訳士の荒井尚人の家庭も様々な影響を被っていた。刑事である妻・みゆきは感染の危険にさらされながら勤務をせざるを得ず、一方の荒井は休校、休園となった二人の娘の面倒をみるため手話通訳の仕事ができない。そんな中、旧知のNPOから、ある事件の支援チームへの協力依頼が来る。女性ろう者が、口論の末に実母を包丁で刺したという事件のサポートだ。聴者である母親との間に何が? “コロナ禍でのろう者の苦悩”、“家庭でのろう者の孤独”をテーマに描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズ第4弾。/解説=佐久間文子
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽけっとももんが
16
思い出した。わたしが生まれる前に亡くなっている曽祖母も耳が聞こえない人だった。おそらく中途失聴者で、耳元で大声ならばかろうじて聞こえるくらい。母が、聞こえないけどいつもにこにこしていた、ときどき誰かが大声で通訳すると、とても嬉しそうにしていた、と。それをディナーテーブル症候群で思い出したのだ。今思えばさほど高齢でもなかったはずだ。のちに母が手話教室に通っていたのはそれもあったのか。手話に対する偏見、家族内での疎外感、いろいろ考えさせられる。しかしアラチャン、もうちょっとしゃきっとしたまえよ。2025/08/06
ツバサ
13
読み終えて気づくタイトルの悲しさ。いるのにいない扱いを受ける人達の心叫びが感じられて、切ない気持ちになる。耳が聞こえない人と生きる為に何が出来るのか、それ以外の障害ある人と共存する社会になるためにはどうすればいいのか。問題は山積みだ。荒井家の課題もどうなるのか気になる。2025/05/23
himanaka
2
今回も色々考えさせられた。表題にあるディナーテーブル症候群、子どものことを考えると、胸が締め付けられる。2025/08/12
今野琢
2
ろう児の瞳美が手話で教育を行うろう学校の幼稚部に通うようになった2020年、コロナ禍の影響は荒井家にも及んでいた。高校受験を控えた美和、感染を心配しつつ働く刑事のみゆきの代わりに瞳美の世話をするため、荒井は手話通訳の仕事をセーブせざるを得ない。 そんな中、旧知のNPO団体から、ろう者の傷害事件のサポートを依頼される。 些細な口論の末に実母をナイフで刺した事件。聴者である母親との間に何があったのか。2025/06/08
イ尹口欠
2
シリーズ4冊目。胸を突かれる小説。2025/06/05