内容説明
本書は、発表を前提として書かれながら、25年の歳月を経てようやく刊行された日記である。『赤目四十八瀧心中未遂』の上板から直木賞の受賞、その後の原稿・出演依頼に応えて疲労困憊する日々、編集者との桎梏、持病の脅迫神経症治療のための病院通い、受賞で手に入れた大金で購入した中古の家への人生最後の引っ越しの顛末などを赤裸々に綴る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いちろく
22
紹介していただいた本。平成十年春からの約一年間、伊藤整文学賞辞退からの直木賞受賞とその後の時期に車谷長吉氏が綴った日記。執筆から約25年後、没後約10年が経過して昨年出版された内容であるが、当時の基準と照らし合わせても、今の時代によく出版出来たなと思う。当時も裁判沙汰になったと言われるが、個人情報も無視したアケスケ過ぎる内容に読者の一人として「そりゃ、なるわ」としか言えない。ましてや、この本の登場人物には現在も存命の方もいるのである。それでも最後のページまで捲っていたのだから、不思議な読書体験でもあった。2025/04/25
チェアー
6
自分が作家であることの強烈な意識。その半面、作家でありたくない、アマチュアでありたいと願っていた。 書くために生きた人だった。寡作ではあったが、書くべきことを書いた人だった。 「赤目四十八瀧」は読まなあかん。 2024/08/21
sputnik|jiu
4
先日、大いに体調を崩したのだが、そうするとその日の体の具合とか便通の回数とか、そのぐらいしか記録すべきことはないのだなとしみじみと実感した。 それにしても、おそろしいほどにたくさん本を読む人だったんだな。2024/09/11
小谷野敦
4
25年前の直木賞受賞の年を中心にした日記で、当時文春の依頼で書かれたものだがどこでも出してもらえず、車谷死去ののち高橋順子が遺稿を発見したが、個人の名誉を損なう記述が多いので、一番問題の夏目漱石の息子のところで女中をしていた叔母が94歳で死ぬのを待って、問題のある箇所は人名を「よ氏」などとして刊行。しかし一番よく出てくる筑摩書房の「よ氏」は、翻訳刊行した著作名が書いてあるので分かってしまう。全体に強迫神経症で苦しんでいるのはともかくやたら嘔吐しているので、よく生きているなあと感じる。あと前田速夫との確執2024/09/04
オールド・ボリシェビク
3
1998年、車谷が直木賞を受賞する前後1年の日記。編集者や知人らへの悪口雑言罵詈雑言もすさまじく、妻の高橋順子がかなり、登場人物の匿名化などに苦労したらしい。文藝春秋や新潮社などの大手出版社は刊行に二の足を踏んだという。しかし、面白い。完全なる文学狂人である。強迫神経症に苦しみつつ、書く。書かねばいられないから、書く。その作家の業が痛いほどに伝わってくる日記である。しかしまあ、直木賞受賞後はなんだか、抜け殻のようになり、原稿を求めてくる編集者らを罵倒する。一本、筋が通りながらも揺れる車谷。震撼して読んだ。2025/07/01
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