内容説明
盛田照美、50歳。夫と娘がいる。ひとりになる必要のない人生を送ってきた。はじめての「ひとり旅」で温泉地へ。人生の折り返し地点をすぎて、自分の半生に想いを馳せる。わたしがここまでに成し遂げたもの、何かあったかしら……。思い惑い人生の苦みを抱えながら彼らは温泉地へと向かう。「温泉ソムリエマスター」でもある作者が描く、温泉愛に満ち満ちた、六つの極楽小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
194
もっと楽しい温泉旅ばかりの短編集だと思っていたけど、人間関係の悩みや想いを抱く人達が、温泉の湯で優しく包みこむ物語と言ってよいかな。『わたくしたちの境目は』が個人的に一番タイトルにマッチしてるかな。『女友達の作り方』、『島と奇跡』は良かった。タイトルが『温泉小説』なだけに、もう少し温泉シーンがほしかったかなと思うけど、この短編集のように、温泉に浸かりながら、いろいろ考えるのは自分も同じ。温泉に行きたくなるのは間違いなし。そして、改めて自分は温泉が好きだと実感できる短編集でもありました。2025/08/16
みかん🍊
79
日帰りバス旅行での一人旅、免許返納を娘に迫られる高齢父親の一人ドライブ旅、父親の故郷へ初めての一人旅をするお嬢様育ちの女性、妻を亡くし息子家族と思い出の温泉へ旅する男性、娘に勧められ断食の宿へ一人泊ることになった50歳女性、婚約破棄の痛手から島での移住リモート生活を選ぶ男性と温泉に絡む旅の6編の短編集、ただ温泉が素晴らしいというだけでなく人生を振り返り思いを馳せる人々の一人旅、温泉のおかげという訳ではないが前へ進もうとする読後感のいい作品、最後の島の奇跡が一番好きだった、温泉に行きたくなる。2025/08/30
Ikutan
76
"友情を続けることって、努力。面倒くさくて放置していると、簡単に枯れちゃう。でも、時間をかけて、対話を続けていくうちに、互いのミスすら愛おしいと思えるくらいの関係になれる。" 温泉ソムリエマスターの称号を持つ朝比奈さんが紡ぐ、年齢も性別も境遇も違う主人公たちが新しい自分に出会う六つの温泉旅の物語。のっけの『女友達の作り方』から心掴まれた。印象に残ったのは高齢男性の物語。『また会う日まで』では、どうなることかとハラハラさせられ、『わたくしたちの境目は』では、亡くなった妻を思う主人公に胸が熱くなった。2025/08/12
ひめか*
70
立場も境遇も異なる6人の温泉にまつわる短編集。最初の男友達ばかりいる女の子が参加した一人限定バスツアーの話、免許返納を渋っている高齢の男性が、亡き妻との思い出に温泉宿に出かける話が特に印象に残った。婚約者と別れて島で再出発を図る最後の青年のお話も良い。私は逆に男友達が少ないので気持ちがわからなかったが、同じ気持ちを分かち合えてアドバイスをくれる人生の先輩に出会えて良かった。ツアーは年齢は違っても一期一会の出会いがあって素敵だな。旅や温泉が前に進むきっかけにもなるから、少し足を伸ばしてみるのは大事だと思う。2025/08/27
ででんでん
70
これは良かった😊装幀や帯の「尖った私がほどけてゆく」…から、ほっこりとしたお話たちかと、そこまで楽しみにはせず読み始めたが。やはり朝比奈さん、それだけのはずはなかった。⚪️女友達を作る「丁寧な」努力…私はやっているか?⚪️「自分は、心配をする側ではなく、こんなにも、される側にいる」…自分もどんどんそちら側へと進んでいる。⚪️共依存 ⚪️なんにもしてこなかったようだけど、ずっと楽しかった。昔の人の人生が50年なら、私たちは二回目人生。◎最後の「島と奇跡」。これだけでも、この本を読んだ甲斐大有り。オススメ。2025/06/30
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