内容説明
新進気鋭の文筆家による、言葉にまつわるエッセイ集。セネガル人の父を持つ「ハーフ」ゆえに日本語に執着してしまうという著者。“それでも、私は日本語が好きだった。椎名林檎の歌が好きで、谷川俊太郎の「信じる」が好きで、男の人がふと漏らす「あら」の響きが好きだった。日本語は美しいと、感じることができる自分が好きだった”――残酷でやさしくて美しい言葉との邂逅を独自の視点ですくい上げ、唯一無二の世界を紡ぎ出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
阿部義彦
17
山田詠美さん経由で知り、前著『アワヨンベは大丈夫』でファンになった、ハーフモデルにして、文筆家の伊藤亜和さんの新刊。光文社新書なのですがハードカバーで鶯色の和な感じの装丁、センス良すぎです。さてこの本でこそ、彼女の日本語での修辞法、表現力に正しく瞠目する事になりました。元々肌の色等がコンプレックスで引っ込み思案で声も小さいくて、仲間はずれにされていましたが、英語は苦手でも日本語は達者で、ショック療法でガールズバーで働いてた日々。『ただ、「綺麗だね」と言って貰える様に、私は言葉を誰かと一緒に使いたい。』2025/04/26
FuSa
6
読んでいると時々、心の奥深くに埋めた黒歴史の思い出袋をぎゅぅっと鷲掴みされた気分になる。2025/05/26
蝶子
5
亜和さんのエッセイ三冊目。すっかりファンになっちゃった。「黒人好きな男」の罪深さ、でも「気にしない」と言われるとそれはそれでもやもやしてしまう、などなど、本人じゃないとわからなさそうな悩みをわかりやすい言葉で説明してくれるのでとても読みやすく、父親も母親も日本人の私でもなんとなく共感してしまう不思議。。特に他人に「気にしてないよ」と言われるとこっちの悩みがなかったことになってしまい腹が立つことはある。IQが80台だったというエピソードは、IQはあてにならないなと思った。2025/05/07
ナオミ
3
20代後半だった頃を思い出した。自分は一生自分と付き合っていくしかないから、いつまでもグラグラと不安定。容姿の美醜に敏感で、他者と才能や実力の差異に打ちひしがれる感性が、もはや眩しいよ。「渋谷、泣き上戸」は読んでいて涙目。苦しくてバカらしく美しいこんな瞬間、永久に保存しておきたい。カバーがヌメっとした感触で、紙で買って良かった。2025/04/29
黒蜜
2
面白かったです。ちょくちょく、こだわりの強さなりハーフならではの疎外感なり、共感できない部分もあったり、しょせんはルックスの良い人なんだよねとねたんだり、「けっ」と思ってしまうのだが、それでもなんとなく読んでしまう。他人の評価を気にしたり、勢いと見得と強がりでバカな行動したり、フラフラしているが、「自分が好き」と断言できるのは好き。ところでエッセイ集3冊目だが、すべて版型?が違うのはどうにかならないんすか。2025/06/28
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