内容説明
新進気鋭の文筆家による、言葉にまつわるエッセイ集。セネガル人の父を持つ「ハーフ」ゆえに日本語に執着してしまうという著者。“それでも、私は日本語が好きだった。椎名林檎の歌が好きで、谷川俊太郎の「信じる」が好きで、男の人がふと漏らす「あら」の響きが好きだった。日本語は美しいと、感じることができる自分が好きだった”――残酷でやさしくて美しい言葉との邂逅を独自の視点ですくい上げ、唯一無二の世界を紡ぎ出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
87
本屋で一万円のお買い物のYouTubeで初めて見て面白い人だと思って、前から読んでみたかった作家さん、いや文筆家さん。やっぱり面白かった。自分の気持ちを正直に文章にしているところが良いなあと。そして言葉(日本語)とアイデンティティ、どちらも大事にしている様が伝わってきた。言葉に傷つき、言葉に励まされ、言葉に自分を感じる。そんな彼女の文章に惹き付けられる。家族、特に祖母の話が良い。「高いんでしょ?」から祖母の心をしっかり汲み取っている。そして著者が言葉に執着する切っ掛けの話、復讐を超えたその先の想いが尊い。2026/04/21
チャッピー
34
若くてきれいでハーフで文筆家で活動的で、自分と共通点ナッシングなんだけど、自分の代弁してもらってるような奇妙な共感が時おり現れる。言葉をていねいに大切につかっている姿勢に教わることも多かった。2026/05/16
メタボン
27
☆☆☆☆ 著者は父がセネガル出身のハーフ。小さい頃から抱えて来た「ハーフである葛藤」に関する題材が多いエッセイ集。独特の視点が「読ませる」エッセイになっている。「黒人好きならエロい歌うたえばいい」にグッときたし、不思議な魅力を感じた。2025/09/24
阿部義彦
18
山田詠美さん経由で知り、前著『アワヨンベは大丈夫』でファンになった、ハーフモデルにして、文筆家の伊藤亜和さんの新刊。光文社新書なのですがハードカバーで鶯色の和な感じの装丁、センス良すぎです。さてこの本でこそ、彼女の日本語での修辞法、表現力に正しく瞠目する事になりました。元々肌の色等がコンプレックスで引っ込み思案で声も小さいくて、仲間はずれにされていましたが、英語は苦手でも日本語は達者で、ショック療法でガールズバーで働いてた日々。『ただ、「綺麗だね」と言って貰える様に、私は言葉を誰かと一緒に使いたい。』2025/04/26
kana
13
表紙のヌメっとした触り心地に惚れてジャケ買い。読了後改めて、このエッセイで紡がれる著者らしい唯一無二の控えめさが表現されている気がして愛着が湧きます。なんて素敵な個性の方。私も今、「呪われない勇気」が欲しいです。彼女の出自やそれ故の外見の個性を下敷きにした文章が「とても好き」と思うこと自体は繊細な彼女を傷つけないでしょうか。怒りと悲しみの出力のバランスというか、捻くれたまっすぐさというか、コンプレックスに触れる時ほどそのいろんな相反するものをこぼさず言葉にしていく姿勢が際立っていて心揺さぶられました。2026/03/04




