内容説明
GDPが高くても、選択や自由が失われてる人々がいれば「豊か」とはいえない。一人一人が「何をすることができるか」が重要だ。このケイパビリティ(潜在能力)アプローチの考え方は今や国連機関でも採用され、福祉の現場でも活用されている。これらの研究をリードした著名な哲学者によるケイパビリティ・アプローチ入門書の決定版!
目次
日本語版への序文
はじめに
第1章 正義を求める女性
第2章 中心的ケイパビリティ
第3章 対抗する理論の必要性
GDPアプローチ
功利主義アプローチ
資源に基づくアプローチ
ケイパビリティと測定問題
人権アプローチ
第4章 基本的権原
自由と内容
政治的正当化
情報に基づく欲求厚生主義
社会契約論
政治的リベラリズムと重なり合う合意
帰結主義と義務論
政治感情と安定性の問題
制度化
第5章 文化の多様性
第6章 国家とグローバルな正義
第7章 哲学的な影響
アリストテレスとストア派
一七世紀と一八世紀─自然法、人間の脆弱性
一九世紀と二〇世紀─ケイパビリティvs 功利主義とリバタリアニズム
第8章 ケイパビリティと現代の問題
不利な状況
ジェンダー
障がいと老い、そしてケアの重要性
教 育
動物の権原
環境の質
憲法と政治構造
ケイパビリティと人間心理
結 論
追 記
付録A ヘックマンとケイパビリティ
付録B セン、福祉、主体性
謝 辞
訳者あとがき
各章の注
参考文献
著者・訳者紹介
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Go Extreme
2
貧困や不平等に苦しむ人々の状況 インドの女性が直面する困難 男女間の不平等 現実の生活や自由に着目 生活の多様な側面を考慮する必要性 多岐にわたる倫理的・政治的課題 多くの要素から構成される人間の能力や機会 達成すべき現実的な目標 思考、想像力、感情 自由な選択重視 自由や主体性の価値 正義の問題としての主体性 脆弱性への深い理解 規制緩和と教育の無償提供 選択の自由と多様な包括的教義 障害者のケイパビリティと社会的支援 人口抑制と教育やエンパワーメント 中心的な生活の脆弱性の保護 解釈の文脈主義の重要性2025/05/06
ほなみ
2
先日アマルティアセンを読んだのもあり、購入 正直難しくてよくわからなかったところありつつ、ケイパビリティアプローチとはあくまで正義を確立する手段でしかないって感じなのかな。「ケイパビリティ」の定義や、何の「ケイパビリティ」を持たせるのかということが重要であり、そこの証明に紙面割いていた印象 何を大切にすべきかは、本人でも分からないというインドの女性の例とか心が痛い。 その人の可能性は社会に規定されるのはその通りだし、まずはいかに可能性を広げられる社会であるかが、議論のスタートなのかもなぁと思った2025/04/04