内容説明
1972年春。本土復帰を控えた沖縄では、それまで使用されていたドル札を円に交換する必要があるため、島中の現金を回収していた。そんな最中、現金輸送車が襲われ100万ドル(当時のレートで3億円以上)が奪われてしまう。高度な外交問題に発展する恐れがあるため、琉球政府および琉球警察上層部は日米両政府に秘匿したまま、復帰当日である5月15日までに事件を解決するよう指示をする。任務をうけた真栄田太一警部補は、様々な葛藤を抱えながら事件解決に挑むが……昭和史ミステリーの新鋭が描くノンストップサスペンス。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
64
日本円と琉球銀行が沖縄全土から回収する540億ドルとの交換が行われる中、100万ドル強奪事件が起きた。犯人らを「特命」を受けた少数の刑事たちが追う。タイムリミットは本土復帰の日まで。私は沖縄のことを何も知らなかった。と作品を読んで覚った。ひき逃げも婦女暴行も米兵が基地に逃げ込めば何もできない時代。報道で怒りを覚えたこともある。時代が進んでも、地位協定の壁。刑事事件もアメリカが介入すれば沖縄の警察は手出し無用。自治権があったとは言えない中で、もがき、あがく警察官たちの姿に虐げられてきた沖縄の歴史を振り返る。2025/09/24
えみ
40
沖縄の本土復帰を控えた1972年。琉球警察署に勤務する真栄田太一は外交問題に発展しかねない重要な事件解決任務を任されていた。これを失敗すれば全ての信頼を失う。追い詰められた彼の目の前に突きつけられる沖縄の「深い傷」、収集される事件の片鱗、時代背景を語らずとも浮かび上がる人々の感情…全てにおいて苦悩が滲む。現金輸送車襲撃事件と過去に起きた痛ましい殺人事件、2つはどこでどのように繋がっているか。沖縄を舞台にした警察小説。この小説が訴える歴史の残酷さ、運命の非道さ、そして人の無念が炎上する憎悪。その葛藤を知る。2025/10/18
ち~
28
本土復帰に伴い米国に返却するため、沖縄全土から集められたドル札のなかの100万ドルが強奪された。琉球警察の眞栄田は少人数で秘密裏に取り戻す命令を受ける。米国×日本、米軍×琉球警察を通した当時の情勢や主人公達のアイデンティティなどが効果的に盛り込まれた、読み応えあるミステリだった。2026/02/26
智哉
19
昭和史の切り取り方が秀逸。現金輸送の強奪事件ひとつで、ここまで読ませるとは。鬼畜を追い詰めるために、どれだけ犠牲を払ったことか。掛け替えのない仲間を失って、この程度の復讐では割に合わない。2026/04/04
りょう
5
沖縄返還時に、貨幣がドルから円に一斉に変わったこと、知らなかった。キャッシュだけの世界では、そりゃあ、大変なことだったろうな。その時のドサクサで100万ドルが強奪された事件を追う物語。戦後の沖縄の苦労って、映画「宝島」で見たが、ほんとに大変すぎ。知らないこといっぱいだった。2026/05/20
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