ちくまプリマー新書<br> 社会は「私」をどうかたちづくるのか

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ちくまプリマー新書
社会は「私」をどうかたちづくるのか

  • 著者名:牧野智和【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2025/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480685162

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内容説明

なぜ「私」は、今のような「私」であるのだろうか? 他者との関係性からより広い社会的状況までに影響を受け、「私」という存在は複雑にかたちづくられている。社会学のさまざまな観点からその成り立ちについて考え、「私」と社会をめぐる風通しをよくする手がかりを示す。 【目次】第1章 数字でみる「私」/第2章 他者と「私」/第3章 現代社会における「私」/第4章 つくられる「私」/第5章 語られる「私」

目次

はじめに/第1章 数字でみる「私」/1 時代のなかの「私」/2 社会的状況による「私」の違い/今どきの「男らしさ」「女らしさ」/「大人になれば」どうなるか? /経済状況が生み出す「私」の格差/3 「私」のあり方と「社会」への向き合い方の関係/社会が求めてくる「私」/自己意識と「社会への態度」の関係/「私」について考えること/「社会」について考えること/第2章 他者と「私」/1 「役割」と自己──ジョージ・ハーバート・ミード/社会学的自己論のはじまり/自我の発達と役割取得/2 「相互行為」と自己──アーヴィング・ゴフマン/相互行為とフェイス・ワーク/イメージとしての自己/プレイヤーとしての自己/自己はささやかな調整によって成り立っている/3 発達課題としての「アイデンティティ」──エリク・H・エリクソン/青年期におけるアイデンティティの獲得/アイデンティティ論からの若者分析/第3章 現代社会における「私」/1 「心」への傾斜/制度から衝動へ/感情労働と「本当の自分」/「心理主義化」が意味すること/2 自己の多元化/「飽和」する自己/オンライン・コミュニケーションと自己/「ポストモダン」的自己論への批判/現代日本におけるアイデンティティ感覚の揺らぎ/現代日本における自己の多元化/3 後期近代と自己の再帰性/アンソニー・ギデンズ──後期近代と自己の再帰的プロジェクト/ウルリッヒ・ベック──再帰的近代における個人化と責任/ジグムント・バウマン──流動的近代における自己の不安定性と格差/アンソニー・エリオット──「新しい個人主義」とその感情的コスト/自己をめぐる経験的研究へ/第4章 つくられる「私」/1 「自己」を歴史的に捉える/「感情史」というアプローチ/ノルベルト・エリアス──『文明化の過程』と自己抑制/イーフー・トゥアン──「個人空間」と私的感覚の誕生/2 ミシェル・フーコー──言説・テクノロジー・主体化/「知」の軸──言説分析という方法/「権力」の軸──テクノロジーが生み出す「主体」/「自己」の軸──「自己の自己との関係」を通した主体化/3 現代における主体化のテクノロジー/フーコーの知的遺産の継承/ニコラス・ローズ──現代における「心」の統治/現代日本における主体化のテクノロジー──筆者の研究について/第5章 語られる「私」/1 「物語」としての自己/ケネス・ガーゲンの自己物語論/自己物語をめぐるパラドクス/自己物語研究の展開/2 自己はどこでどう語られるのか──制度とアイデンティティ・ワーク/自己語りと「制度」/ローカルな関心事とアイデンティティ・ワーク/3 自己と社会をめぐる循環へ/自己語りをめぐる循環/「自己啓発」をめぐる循環/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

52
相関係数が0・502ではっきりとした正の相関なのか?(31頁) うーん。そうでもないが。。重回帰分析の調整済みR二乗も0.040や、0.061などはそこまで因果がなさそうな気もする(36頁)。フーコーの『言葉と物』や、ベンサムの「パノプティコン」(一望監視装置)も出ていた。学校の権力(構造)の説明もある。だが、私は、兄がギャンブル依存症で、家族のお金や健康まで蝕んでいる。このような、信用できない人間を「監視」しているわけだ。2025/07/18

タカナとダイアローグ

17
難しい‥自己啓発の研究で知った著者。ゴフマンや就活の研究は気が気になる。「私」を説明する機会、必要って、社会の要請だよなって改めておもう。本当はbeingに説明不要だもの。巻末でも触れているとおり、ジェンダーやエスニシティによっても「私」の形づくり方は多様だろうと気になるところ。あと、AIが普及したら、自分っぽい受け応えをするAIが「私」をどう変えるのか気になる。また、AIをつかって、「論旨を変えずに、表現をその場にあわせる(過激な表現を柔らかくなど)」ことができたら、私が私じゃなくなっていくよな、と。2025/08/17

kuukazoo

17
中高生向けの新書にしては難しくないか?とはいえフーコーについてはかなりわかりやすく書いてあり勉強になった。社会と自己の関係について探求してきた社会学者たちとその考察について紹介。本当の自分なんてものは実はないのでは、実体というより関係なのでは、という考え方には揺さぶられるものがある。一度では把握しきれないのでまた読み返したい。2025/07/31

ぷほは

11
社会学でアイデンティティ論や自己論について述べる上での拡がりを、最新の動向までカバーしながら書いていて、非常に助かる。エリクソンやミード、ゴフマンやギデンズなどは分かっていても、フーコーやハッキング、ローズやトゥアンなどの議論を「自己」や「個人」の議論として位置づけていくというのは、抽象的だったり歴史から現代までの知識が幅広く要求されるので、系統立てて分類し語るのが難しい。本書は個別事例の研究にも言及しながらそうした困難な作業をきっちりやり通しており、初学者にどう説明すればよいかを丁寧に示してくれている。2025/04/20

YT

10
社会に合わせて自己がどのように形成されていくか、社会学の立場から眺める。 なぜ自分はこうなのか、自分っていったいなんなのか、などに悩んだことのある人にとっては面白いと思う。 加速する資本主義や脱宗教などの現代の傾向から自己肯定感を上げるないし自己啓発をして個人の人格崇拝を強固にしていく。だがそれはコントローラブルな人格を形成するためにしか機能していない。 さらに、SNSの普及でコミュニケーションや繋がりが向上化する現代では 多元症 がさらに複雑化しているのだと思う。2025/06/09

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