ちくま新書<br> 内調 ――内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス

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ちくま新書
内調 ――内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス

  • 著者名:岸俊光【著者】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 筑摩書房(2025/04発売)
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  • ISBN:9784480076823

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内容説明

日本の内閣情報機構は公的情報が少なく、内部証言も断片的だったため、これまで実態が未解明だった。本書は一九三六年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた一九七二年頃までの実態を、この間の情報機関に深く関わった三人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言をもとに描く。政府寄りの世論形成に取り組み、時には他省庁の取り組みにくい政策課題に自らの存在価値を見いだした内閣情報機構の実像に初めて迫る。

目次

序章 三人のキーパーソン──横溝光暉・吉原公一郎・志垣民郎/はじめに──本書のねらい/内閣情報機構との三者三様の関係/能弁な個人資料の数々/第一章 行政史上初の内閣情報機構/出所不明のマル秘資料/記録を残そうとした人々/五・一五事件、二・二六事件と横溝光暉/満洲事変の「二つの声」/生みの親 育ての親/広田弘毅首相の下命/常勤にして、ただで使う/首相揮毫の「以和為貴」掲げる/前史としての外務省情報部/陸軍パンフレット事件の影/第二章 官許ジャーナリズム/『週報』創刊/強まる軍部の関与/「各庁ニ属セザル」所掌事務/法令に現れた「宣伝」/『週報』の国際時事解説/「近来のヒット」の内実/読者対話型『週報の友』/内閣調査室『調査月報』との接点/『調査月報』の役目も国民啓発/誌面に息づく戦前の人脈/中国に対する一貫した関心/『時局と青年』にみる情報局指針/ある情報局情報官の戦後/第三章 戦下の思想戦と文化人/思想戦とは何か/思想戦講習会の狙い/「内面指導」/文化人と思想戦講習会/粕谷一希の菊池寛論/内閣情報部と菊池寛/深化する思想戦/突然の終幕/疎まれた理論家/歴代首相との距離/内閣情報部改革への疑問/思想戦講習会と総力戦研究所/「国策統合機関」との接点/情報局というゴール/GHQの存置方針/竹槍事件/第四章 独立日本の内閣情報機構/戦後内閣情報機構の柱石/「緒方構想」への批判/村井順の進言/キャノン機関と吉田、緒方の接触/即座に反論した村井/松本清張vs.藤原弘達/四つの創設案/当初案から後退を重ねた第四案/設置法による官制を目指した第一案/情報室から調査室へ変更した第二案/第三案は革命勢力の実態把握/新設後も続いた試行錯誤/弘報活動とは何か/一九五三年頃に登場した心理戦/心理戦とは何か/心理戦実行機関への改編/固有の任務確立と米国機関との連携/思想戦と心理戦/第五章 転機の六〇年安保/安保国会の論戦/資料流出の 末/中国引揚者調査/終戦直後から対米協力/朝鮮戦争の情報戦失敗/吉田茂と共産中国/中国「逆滲透」構想/日本を舞台にした中ソの諜報活動/「逆滲透」構想のリアル/中華民国系の情報も? /キャノン機関と「逆滲透」/戦前期の諜報活動への関心/「日本情報機関の父」の実像/パリ講和会議の吉田と近衛/治安重視と世論への懐疑心/対米従属批判した吉原作品/第六章 学者の囲い込み/元内閣情報調査室長の証言/「白髪の担当者S」/内調編『安保改定問題の記録』/総括編のデスク役に/「国民の不安感煽る」岸内閣/「閉ざされた政治」/総理府広報室の新設/広報室と調査室の接点/よみがえる緒方構想/池田内閣で連携実現/総理秘書官とのパイプ/野党の動向を調査/「文化面担当」志垣民郎/戦前戦後言質集/清水幾太郎との深い溝/出版活動に米も資金援助/共産党に褒められる/政治意識調査で世に出た藤原弘達/丸山シューレの極秘報告書/藤原を最も活用した池田内閣/第七章 官制シンクタンク/「七〇年問題」への傾倒/沖縄返還問題との同時進行/朝日新聞の「七〇年安保」/自民党「右派」の逆襲/「中央情報宣伝機構の強化」/息づく旧海軍人脈/内調と朝日の接触/「偏向」攻撃の時代/民主社会主義の人脈/マスコミ対策要綱/ポジティブリストとネガティブリスト/ニュースになった委託団体/知られざる事務の柱/困難な実態把握/一九五五年以前の協力者グループ/つまずきから生まれた委託調査/予算の九割を超えたことも/二五年間に一四五九本の報告書/天下り先の確保 予算の使いやすさ/保利茂と木村俊夫の対照的な評価/不十分な官邸との連携/核政策研究二六件/強まる政策志向/原潜寄港反対運動から日本の非核政策へ/「一九七〇年問題」の陥穽/終章 戦前戦後を ぐ人々/引き際のPSR/「報道及啓蒙宣伝」の系譜/業務目的は「国家の安全」/「政府の頭脳(前頭葉)」が理想図/「ブレイン機構」構想/内閣情報機構とは何か/あとがき/参考文献/内閣情報機構関連年表(一九一九~一九七二年)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

25
公的情報が少なく内部証言も断片的で、これまで実態が未解明だった日本の内閣情報機構。戦前戦後にわたるインテリジェンスを解明する通史。1936年に情報委員会が設置される前夜から、動揺する国際秩序への対応を迫られた1972年頃までの実態を、深く関わった3人のキーパーソン、横溝光暉、吉原公一郎、志垣民郎が残した資料と証言で掘り下げていて、左翼運動や共産主義、60年安保など、当時の時代性が色濃く反映されていると感じながら読んでいましたが、あの手この手で政府よりの世論形成に取り組んでいたことが伺えて興味深かったです。2025/05/05

すのさん

6
情報の啓蒙及び宣伝を主目的として発足した組織であり、1940年に情報局となってからは言論の統制機構として力を持っている。1952年にこれらの組織の系譜のもと成立したのが内調。関係者資料に「心理戦」という言葉もあり、内調も国民世論を導くという目的を持っていたようであるが、その当初の目的から徐々に外れていく。時流に沿うテーマのもと、内調の人的ネットワークからの情報収集と分析、政策判断を行うという研究機関的組織へと変化したようだ。「内調は何をすべきか」という存在意義が固まらずして走り続けた組織のようでもある。2025/09/06

3
知られざる内閣調査室について、戦前ルーツからその機構や活動、人脈を描く。個人的には内調と民社人脈のつながりが気になる。2025/10/05

辻井凌|つじー

2
「内閣情報機構に見る日本型インテリジェンス」という副題にひかれた。インテリジェンスには情報や諜報の意味があり、スパイの世界も当てはまる。インテリジェンス!いい響き! スパイというと派手なイメージを連想するかもしれない。でも本書に書かれているのは内閣の下で行われる地道な情報分析の世界であり、どうにかして組織の役割や居場所を確保しようとする官僚たちの世界だ。 https://note.com/nega9clecle/n/n767b8782c0172025/04/14

KK

1
通史と標榜している通り、戦前戦中戦後の断片的な記録にインタビューや日記で穴埋めをし、膨大な資料的価値も有する作品になっている。ある程度の知識があると仔細な情報、インタビューの機微が分かり易いのかもしれない。菊池寛が情報と文芸について語るところが興味深く、庶民の受け止め方にまで範囲を広げてもらえると読みやすさが増すとも感じた。2025/06/30

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