内容説明
「口入れ屋は商売だけど、口出しするのは性分なんで」
若き女主人と元花魁が、人にからまる糸を解く!
著者好評の江戸人情話、最新作!
二十七にして三度目の奉公先から暇を取ったおれんは、昔馴染みの口入れ屋を訪ねた。帳場には見慣れぬ小娘。
口入れ屋の主人と言えば、酸いも甘いも噛み分けた食えない年寄りが相場である。ただの留守番に違いない――が。
「あたしは先代時三の孫で、貫と申します。二年前にこの店を継ぎまして、今年二十二になります」
それぞれの奉公先を辞めた経緯を語らせるお貫に反発して、おれんは店を飛び出す。別の口入れ屋に断わられ、通りで再会した元の主人には不義理をなじられ、疲れ果てて戻った部屋には、お貫が待ちかまえていた……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
122
口入屋『やよいや』の若き女主人・お貫22歳はしっかり者で、結果お節介焼き。世間から「口出し屋」と言われている。祖父・時三に嫌われて8歳から同業の大店・大黒屋で修行し、2年前に祖父から譲り受けた『やよいや』を営んでいるのだが・・訪れる様々な客との厳しくも優しい人情味溢れる本作。既読の作品『𠮷原と外』の美晴がナイスなキャラのまま脇を固めるのが実に面白い。残念ながらお照は亡くなっていたが、そこも記されているのがちょっとしんみり。これはもうシリーズとして続編ありそうな予感が大だ。2025/05/16
初美マリン
80
酸いも甘いも噛み分けたと表現するのが、ふさわしいお貫が商う口入れ屋が舞台、そのさばき加減を御覧じろ。2026/02/01
真理そら
47
『吉原と外』の元花魁美晴が登場する。祖父の口入屋を継いだお貫は駆け落ちした父親に冷たかった祖父をあまり好きではないらしい。が、祖父には祖父の事情があって…。6つの短編からなる連作短編集。訪れる客が他責感情が強い中で「忠義者」の番頭のもやもやはわかる気がした。祖父とお貫のその後も知りたいのでシリーズ化希望です。2026/06/04
楽駿
31
品川図書館本。東氏の新聞書評から。口入屋のはずが、まだまだ若い美空の、衣着せぬ物言いと、お節介のせいで、巷には口出し屋の呼び声も高い。痛快で、ちょっぴりホロリとした部分もあり、江戸町人ものの中でも、とても読み易く、痛快だ。本人の来し方も、それぞれ、意地の突っ張り合いの果てに、今がある。世話すると決めたなら、損得は二の次で、とことん面倒も見るけれど、それは貸し、と言う事。タダより高い物はないけれど、そんな形で人の縁を繋いで行ったりもする。『吉原と外』も登場人物のこれまでが書かれていそうで、読んでみたい。推薦2025/06/01
みい坊
31
「吉原と外」の美晴とお照。どうやらお照の遺児を美晴が育てているらしい。本筋には関係ないが冒頭から少し驚く。口入れ屋の若い主、お貫。「口入れ屋は商売だけど、口出しするのは性分なんで」と言いながらお貫の店に訪れる大店の跡取り息子、忠義者の番頭、世間知らずの娘に時に厳しく、時にお節介に関わる様がシャキッと心地良い。最終話「老愁」居場所を無くした隠居の妄想にハラハラ。最後は幼馴染みの隠居同士の会話が微笑ましく、ジンワリと温かな気持ちになれた。お貫のシャキッと感、ピリッと色を添える美晴。このコンビも中々楽しかった。2025/04/24
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