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内容説明
ナチス・ドイツの大衆動員を追体験する授業を通じて、ファシズムの仕組みに迫る。ヘイトスピーチをはじめとする身近な問題にも焦点を当てた、現代社会と民主主義を再考するための必読書。「補論 日本の『自粛警察』とファシズム」も新たに収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
17
初版に引き続いての読書。ファシズムはどのようにして生じるかというメカニズムを体験学習(と座学)によって学ぼうという試みだが、日本では制服の着用や運動会での行進といったような形で小学校から似たようなことをやらされており、同調圧力に慣れ親しんでいるという指摘に考えさせられるものがあった。文庫版で追加された補論ではコロナ禍のもとでの日本型「お願い」による責任の所在が見えない危機対応や自粛警察のような動きをドイツの対応と比較している。2025/04/16
ATS
15
高市総理が誕生し自民と維新の連立政権が発足して以降、ファシズムが加速していると思い勉強のために読んだ。ファシズムというと権威(国家や独裁者)が圧倒的な権力で人々を強制弾圧するようなイメージだが実際は国民も権威に追従することで社会的制約や責任から解放される快楽によって積極的に権威を支持していた面もあったようだ。自らの責任を放棄して権威に盲従して生きていくのは楽であろう。ファシズムとは易きに流れる人間のサガにより生まれるということか。憲法12条の国民の不断の努力という言葉の重さをひしひしと感じる。2026/06/07
どら猫さとっち
13
ファシズムはいかにして生まれるのか。実際にその特徴を捉え、行為を実験した大学の授業があった。ナチス・ドイツを模した団体から、人は何故ファシズムに惹かれ、団体のなかで暴走するのか。それを実践した大学教授の記録が本書である。実際やるとなると、気持ち悪さが先んじて逃げ出したくなるが、本書を読んでもその体感が味わえる。そこから知性と人間らしさを見つけ出すのが、ファシズムにだまされない方法といえるだろう。2025/09/21
Katsuto Yoshinaga
9
甲南大学の田野大輔教授(著者)は、学生たちに「ハイル、タノ!」と叫んでナチス式の敬礼をさせ、白いシャツにジーンズ(シャツはパンツイン)を義務付け、笛の音に合わせて教室やグラウンドでの行進や糾弾行動を行わせる。タノ教授を指導者とした独裁体制の支持者と化した学生たちが示威行動を繰り広げる。これがタノ教授の「ファシズムの体験学習」である。なんとも凄い授業である。よく考えつき、実行したものだ。本書は、ファシズムを実感する模擬実験の過程と意義、注意点を記したもので、これが実に面白い。(コメに続く)2025/05/22
フクロウ
5
田野の問題意識は「なぜドイツ人はナチズムを支持したのか?」であるが、その解答を特殊歴史学に求めるのではなく、普遍社会学に求める点が独特である。現代人は充実した生を生きている実感に乏しい(チャールズ・テイラー『〈ほんもの〉という倫理』や『ファイトクラブ』)。その実感を得られるのがファシズムである。ファシズムは大衆を支配服従したい権力者と、権力者に支配服従されたい大衆とから構成される。その際、大衆は、権力に抑圧されているというよりは個人責任から解放され自由を体感しているという。まさに小役人である。2026/08/15
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