内容説明
細胞生物学者、歌人である著者が贈る、人生後半への応援歌。中高年は人生の困難をのりきる「収穫期」でもある。老いを自然に迎えるための、人生観とユーモアと覚悟を短歌から学ぶ。自ら後期高齢者になった経験から、深く読み解き身に沁みるエッセイと名歌。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃちゃ
78
超高齢社会を生きる私たち。子を産み育て職を辞したあとも、老後という長い道のりを歩くことになった。けれど歌の素材やテーマとして、人生後半ならではの豊かさやおもしろさがそこにあると著者は説く。本書を読みまさにそのとおりだと目から鱗だった。近現代の秀歌を挙げつつ下り坂ならではの風景、病気や介護、孤独というネガティブな面だけではなく、例えば恋、友、旅、酒、ペットなど日々の楽しさ喜びをも交えて情感豊かに歌の魅力を綴る。その視点の多様さ柔軟さ、語り口の巧みさに触発され、歌に疎い私も思わず指を折って詠んでみたくなった。2025/07/25
ふう
77
著者は細胞生物学者で歌人。はじめに老化や寿命についての説明があり、続いて中年から人生の後半へ向かうにあたっての歌が紹介されています。そのあたりまでは落ち着いて読んでいたのですが、「老いの先へ」の章では、高齢の自分のことが重なり切なくなってしまいました。親や子ども、パートナーの死、そして自分の死への思いと身につまされる歌が続きます。著者自身も妻を亡くし『歌に私は泣くだろう』という歌集を出しています。妻も歌人で、互いを思う歌に愛情の深さと死の悲しみが切々と伝わってきました。2025/07/18
ネギっ子gen
59
【人生後半とは、各々が生きてきた人生時間の“収穫期”】歌を読むことは、共感するとともに力づけられることも多いと説く著者が、「後の生」の面白さと豊かさはどう詠われてきたのかを秀歌で紹介しつつ、中高年期を充実して生きるヒントを探った書。<近代、現代の短歌を読みながら、中年期以降の“人生後半”にどのような困難や問題が起こってくるのか、それにそれぞれの人々がどのように感じ、どのように対処してきたのか、しかもその中でどのような喜びがあり、感激がうまれていったのか、などをつぶさに見て行こうと企画したものでした>と。⇒2025/08/01
チェアー
7
人間は年齢を経るとかえって感情や思いが直接的に出てくるような気がする。例えば斎藤茂吉の用意周到な手紙(とにかく読み終わったら焼け、焼いてくれるなら心情を吐露するから)なんて、書かれている内容があまりに率直で、かつ年齢相当なのはいろんな方面から自分の身を守る知恵だったりして。年齢を経てずるくなってるよね。そこがいい。 2025/05/26
このみ
6
理路整然と平均寿命の解説から始まるのがらしい。単純に年をとったなあというものから、退職、別れ、介護、病、死別、孫の存在、孤独、豊かな楽しみ、などいろいろな切り口があるものだなぁと思う。興味深かったのは川田順「老いらくの恋」。法然院の墓所という縁。「客観的に見れば、確実に死への階梯を下りていくのですから、それがわくわくするような楽しさに満ちているはずはないのですが、一方的にそれを暗いもの、悲しい寂しいものとだけ捉えて日々をやり過ごすのでは何としても惜しい」ご自身と妻河野裕子のことにも。溢れる思いに触れ万感。2025/06/29
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