集英社文庫<br> 楊花の歌

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集英社文庫
楊花の歌

  • 著者名:青波杏【著】
  • 価格 ¥671(本体¥610)
  • 集英社(2025/04発売)
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  • ISBN:9784087447415

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内容説明

1941年、大阪松島遊廓から逃走して、日本占領下の福建省廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。ヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。しかし、楊から秘密裏に課されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。戦時下を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作!

目次

第一部
廈門、一九四一年十月二十一日
上海、一九三七年三月九日
廈門、一九四一年十月二十一日、二十二日
崇武、一九四一年十月二十三日
大阪、一九三七年三月三日
廈門、一九四一年十月二十四日
廈門、一九四一年十月二十五日
第二部
廈門、一九四一年十月二十六日
廈門、一九四一年十月二十六日、午後三時三十分
廈門、一九四一年十一月二十九日
第三部
虹の橋の下の集落、一九一四年
坂の途中の街、一九二〇年
海の街の学校、一九二六年四月
海の街の夜、一九二六年六月
坂の途中の街、一九二七年四月
海の街の学校、一九二七年五月
第四部
基隆、一九四一年十二月
金瓜石、一九四二年四月
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さくりや

19
裏表紙のあらすじを読んで買ったけどめーちゃめちゃ良かったあ!日本占領時代の中国の風俗史や近代日本の女性史を背景に緻密に描かれた作品。食べ物や主人公の部屋の様子など、日常を感じる些細な描写がリアルで世界観に入り込みやすかった。お互いを想い合っていながらも秘密を抱え相手を信じきれない主人公とヤンファの関係性もじれったくて良い。というか最近の私百合読みすぎ。この時代の女性を中心にしたストーリーとは思えないハッピーエンドだが、この後の戦乱の大陸を2人は生き延びられたのだろうか。そしてこれデビュー作なんですか⁉︎2025/03/08

ハッピーハートの樹

4
ヤンファもリリーも、ミヨも、優しい。もっと冷酷な殺人者なのかと思いきや、どこにでも居る普通の若者っぽさのほうが強くて。蛇おばさんの存在も大きいですね。諜報活動や暗殺、弾圧などの場面もあるのに、全く血なまぐささは感じませんでした。最後、リリーが宿のベランダから見た眺め、見渡す限りの真っ青な海、のような読後感です。美味しそうなチマキも印象的でした。絶対に食べたくなるやつ。/歴史的なことは正しく認識したいです。自分がやったことじゃなくても、関係ないなんて言い切れない。事実だって色々な側面があるから難しいけれど。2025/05/12

ぱ隹越九朗

3
1941年の廈門、カフェー女給と諜報員という二つの顔を持つリリーと狙撃手のヤンファ。日本諜報員暗殺指令を遂行すべく行動をともにする二人は惹かれあっていく。しかしリリーには暗殺失敗時に自分の手でヤンファを殺すというもう一つの指令を受けていた。女女関係性要素以上に、日本植民地時代の事件、先住民たちのアイデンティティ、性搾取に対する問題意識を強く感じるつくりで姿勢を正される。登場人物たちが時代の困難の中どう生きたのか、中国の様々な土地の情景、これらの描写がとても好み。第三部の蛇のおばさんとのシーン、泣く……2025/02/28

イシュア

1
デビュー作とは思えない重厚な小説でした。 ただ、少しずつ読んでいたので途中で登場人物のバックグラウンドが錯綜してよくわからなくなってしまい、種明かしがすっきりしなかったのは残念だった。2025/07/12

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