内容説明
1959(昭和34)年より、東京西郊の団地にある賃貸の2DKに住まう文芸評論家は子ももうけることも家を所有することも欲することなく、親族との関係も絶ち、石塊の声に耳を傾けながらひたすら人間の生の根柢を見つめつづけてきた。
声高に語られる正義の言葉に疑問を呈し、その虚偽を拒む思考とはどのようなものか?
1974(昭和49)年から1987(昭和62)年という、オイルショック直後からバブル景気の時期に時代と社会の定点観測のように文芸雑誌や書評紙に書かれた文章を読む者は、その言葉が呟きのようでありながら独自性と粘りに満ちていることに気付かされる。
その深くえぐるような強度は、21世紀の現代においてむしろ重要性が増しているように感じられるものなのである。
混迷する世界にかろうじて生きる我々にこそ響くエッセイ集、初の文庫化。
目次
目次:
団地という町
1
簡単な生活者の意見
中途半端な時間の中で
故郷に帰りゆくこころ
生真面目な喜劇の時代――団地通信1
怪し気な生活の謳歌――団地通信2
巨大な「リンチ場面」の演出――団地通信3
「惨めな生の意識」の確立――団地通信4
奇妙な滑稽劇――団地通信5
静かな日常の幻想――団地通信6
市民は「政府の玩具」――団地通信7
巨大な「悪夢」の正体――団地通信8
気怠い日常のなかで――団地通信9
空虚になった自分の「家」――団地通信10
ついに自己解体の日が――団地通信11
スキャンダルと犯罪の繁栄――団地通信12
生を螺旋形に変えよ! ――団地通信13
カード化された言葉の時代――団地通信14
2
兄の死
夫婦と私
家と女たち
石ころへ――あとがきに代えて
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解説
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