禅的生活365日 - 一日一字で活溌に生きる

著者名：玄侑宗久

誠文堂新光社（2025/03発売）

• ISBN：9784416723760

内容説明

「一期一会」「本来無一物」など、熟語形が多い禅語ですが、じつは漢字一文字でも禅的な風味を読み取ることは可能です。

生、老、空、安、我、色、心、柱など、その文字の背景や仏教的意味を知ると、何気なく使っている文字にも意味深い味わいが生まれ、日々の暮らしを豊かにしてくれます。

たとえば「苦」。

【解説】
人間は、甘（かん）・酸（さん）・辛（しん）・苦（く）の順に味を覚え、逆の順番で忘れていくらしい。
つまり「苦み」を旨いと思えたら一人前、しかし老化と共に「苦み」や「辛み」が楽しめなくなり、最後まで旨いのが「甘み」。
ビールを呷（あお）り、タラの芽や蕗の薹の天麩羅が旨いと思える私はまだ若いのか。
いや、問題は心の甘酸辛苦である。辛く苦しいことも味わい楽しめるのが大人。「苦」とは元々「にがな」という草のことだ。

本書では、芥川賞作家であり禅僧でもある玄侑宗久氏が、「毎日の一文字」365字を選定しました。
その文字に込められた禅的・仏教的なものの考え方や見方などを、遊び心満載の文で解説。俳句もたくさん登場します。

目次

■本文見出し抜粋
1月1日「一」：一から習い、もとの「一」にかえる
2月3日「鬼」：無邪気な鬼が最も怖い
3月17日「入」：彼岸は別世界への入口
4月14日：「耕」：耕しつづけるのが人生か
5月7日：「藤」：年に一度の贖罪（しょくざ い）
6月17日「柳」：「柳に風」で涼やかに
7月12日「蓮」：恋の花から仏教の花へ
8月14日「棚」：盆棚はあの世への架け橋
9月16日「老」：老熟を讃える
10月24日「淋」：我もさびしき秋の暮れ
11月5日「息」：息は身心の出入り口
12月27日「鹿」：年ごとに分岐が増える角

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[starbro]

玄侑 宗久、２作目です。本書は今年の漢字の365日毎日版です。私の誕生日は、読書週間の開始日なので、「読」でした。正に、読書の申し子を実感しました。 https://www.seibundo-shinkosha.net/book/general/92106/

2025/03/15

[Go Extreme]

“禅は特別ではなく、日常にある” 　→ 坐禅や公案ではなく、「食べる」「歩く」「掃除する」「笑う」といった日々の行為に禅が宿るという発想 “漢字一字”による示唆 　→ 書道のように、一文字から空気や心象を感じ取り、自分自身を見つめ直す機会とする “繰り返し”と“深化”の重視 　→ 一部の文字（例：柳、蕉、涼、老など）は複数回登場し、禅において大切な要素を繰り返し味わわせる構成 “季節・自然・身体感覚”の重視 　→ 気候・植物・食べ物・感覚（涼しさ、香り、湿気、涙など）を通じて、自然と調和する感性が育まれる

2025/04/02

[言いたい放題]

斜め読み

2025/05/14