内容説明
1989年、バーリ。僕はあの出会いにいまも限りない郷愁を覚えている──
金原瑞人氏、推薦!
「あるべき自分から少しずつずれて、やがて一気に堕ちていく恐怖を見事にとらえた犯罪心理小説」
イタリアで10万部突破、バンカレッラ賞を受賞したベストセラー、ついに上陸!
マフィア対策検察官という経歴を持つイタリア・ミステリ界の巨匠による、半自伝的犯罪小説。
「パトリシア・ハイスミス『太陽がいっぱい』を彷彿とさせるサスペンスフルでスリリングなイタリアの青春小説」 ──インデペンデント紙
1989年、バーリ。憲兵隊(カラビニエリ)のキーティ中尉は連続レイプ事件の捜査に頭を悩ませていた。一方、法学専攻の大学生ジョルジョの順風満帆ながらも退屈な生活は、ある夜を境に一変する。パーティーの場で出会ったフランチェスコは謎めいた魅力を持ついかさまギャンブラーで、彼に誘われるがままにコンビを組んだジョルジョはすぐに、ポーカーで勝利をかさね、大金を得るという刺激的な日々の虜となる。だがそれは逃れられない転落のはじまりでもあり……。イタリア・ミステリ界の巨匠渾身の一作。〈解説・杉江松恋〉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナミのママ
75
ミステリというより青春小説、ハラハラドキドキで楽しんだあとにほろ苦さが残る。青年の危うさは、お国柄かギャンブルがメイン。1989年、大学で法学を専攻しているジョルジョはフランチェスコと知り合う。その出会い方は「若いな」という感じ、とにかくそこからジョルジョは違う道を進み始める。同じ頃、この町ではレイプ事件が連続していた。物語には事件を追う憲兵隊のキーティも登場する。キーティもまた26歳、悩み多き人物として書かれている。同年代の時期の自分はどんなだっただろう、ふっと思った。【2005年バンカレッラ賞】受賞2025/05/24
しゃお
25
1989年のイタリアを舞台にしたクライム・ノヴェルにして青春小説。法学部に通い成績優秀で卒業も間近と思われていたジョルジョ・チブリアーニ。ある日出会ったフランチェスコに誘われ「いかさまポーカー」で大金を稼ぐ日々に。その若さゆえの危うさはジョルジョを破滅へと導いていくかのよう。そこに連続婦女暴行事件の捜査をする憲兵隊中尉のジョルジョ・キーティの様子も加わります。誰もが苦みと共に思い返すような経験をしたかと思いますが、その苦みにはどこか憧憬や郷愁を覚えるものがあるのかも。2025/05/31
凸凹パレード
10
内からでる衝動に突き動かされ考えなしにする行動が人生を破滅へ導いていく。いやもちろん、その最中には考えているし、知っている、分かっていると思っているところが青春の悲劇だ。よくある苦い小説だがやり過ごせない小説でもある。2025/07/07
石
5
それなりに安定した人生を送っていた若者がとある出会いをきっかけに転落への道を進むことに ありがちな設定だが文章に情緒があり、ストレートな犯罪小説としても屈折した青春小説としても面白い2025/05/26