僕たちは言葉について何も知らない 孤独、誤解、もどかしさの言語学

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僕たちは言葉について何も知らない 孤独、誤解、もどかしさの言語学

  • 著者名:小野純一【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • ニューズピックス(2025/04発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784910063409

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内容説明

國分功一郎氏・千葉雅也氏 推薦!
最注目の言語哲学者、一般書デビュー。

人間は言葉を操る魔法使いである。その恐ろしさと可能性。

我々はまだ「言葉が何をなし得るか?」を知らずにいる。
――國分功一郎 (哲学者、『暇と退屈の倫理学』著者)

言葉を使うのは難しい。なぜなら、言葉には、人を動かし、現実を変えてしまう不思議な力があるからだ。
本書は、「言葉の力」とは何かを、哲学的な視点から丁寧に説明してくれる。
――千葉雅也(哲学者、『勉強の哲学』著者)

「言葉は人の心を救いもすれば、生涯消えることのない傷を負わせることもできるものです。
誰もが言葉の持ち主なのに、どうにもうまく使いこなせない。
言葉とはいったい何なのでしょう。(「はじめに」より)

【目次】
第1章 人間の言葉は魔術だ
第2章 「言語化」の手前
第3章 あいまいさが生む言葉の本質
第4章 空気、皮肉、げんかつぎの言語学
第5章 聞き手をコントロールするコミュニケーション
第6章 誤解のメカニズム
第7章 文化の尊重と、個人の尊重
第8章 自分らしさの言語学
最終章 「月がきれいですね」が「あなたが好き」になるとき


なぜ「言語化」に長けた僕たちは、これほど孤独なのか?


【目次詳細】
第1部 理論編:言葉の本質

第1章 人間の言葉は魔術だ
言葉には知られた顔と知られていない顔がある

人は生まれながらに他者を必要とする
第一の見かた:言葉は記号である(論理的)
第二の見かた:言葉には含みがある(心理的)
第三の見かた:言葉は〈場〉である(相互作用的)

第2章 「言語化」の手前にあるもの
論理のおおもとに心理がある

知性の裏にある「白衣効果」
知的な大人は「こども」みたいだ
こども心はいつも小さくなっている
人間は理性的? 悪い冗談はやめてくれ

第3章 あいまいさが生む言葉の本質
言葉の黄身と言葉の白身

言葉のあいまいさが誤解もクリエイティビティも生む
言葉の意味は「核」+「ゆるやかな領域」
概念の変化:愛には、憎しみと区別のつかない瞬間がある

第4章 空気・皮肉・げんかつぎの言語学
言葉に含みをもたせるのはなぜか

あいまいな言葉がなぜ生き延びるのか
空気を読む力と、ことばのあいまいさ

第2部 応用編①:嘘、誤解、もどかしさ
第5章 聞き手をコントロールするコミュニケーション
想起する言葉をコントロールすること

「わかる人にはわかる」言葉?
「鳥」から何を想像させるか?
なぜ「優しい嘘」は許され、「誤解させたなら謝ります」はモヤるのか

第6章 誤解のメカニズム
なぜ誤解は起こるのか

「誤解してしまう言葉」の特徴
誤解を利用する戦略的コミュニケーション

第3部 応用編②:生きるに値する孤独な世界
第7章 文化の尊重は、個人の尊重
なぜ個性のない言葉が「個性」を生むのか

文化を尊重することは、個人を尊重すること
言葉はダウンロードして使う
個人の経験の積み重ねが文化になる

第8章 自分らしさの言語学
本来の自分を言語化するには、「述語」に注目せよ

「人間活動」というレッテル貼りの効果
本来の自分を言語化するには、「述語」に注目せよ
違和感から始めよ
自分の中での自分の不在
主語より述語――「傷」より「痛い」に注目する
一般化とかけがえのなさ

そもそも「みんな」にあなたは含まれてない
「レッテル」があなたを比較可能にする
痛みは美しい

最終章 「月がきれいですね」が「あなたが好き」になるとき
孤独感の正体

「みんなでいる安心感」という孤独
「月がきれいですね」が「あなたが好き」になるとき
孤独(Solitude)の先に孤独感(Loneliness)の解消がある
死んだ人ともわかりあえる
「今、役に立つか」は未来の役に立たない
ほんとうの幸せとは何か
人は本来独りである
言葉を大切にする人が幸せをつかむ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takka@ゲーム×読書×映画×音楽

18
これも最近の自分の中で考えたいテーマ「言葉」きっかけで読んだ本。言葉の意味やイメージは、その人の背景から生まれる。また、それ自体もだんだんと変化していく。経験自体は共有できないことから言葉のイメージが食い違い、誤解につながっていく。その誤解を解消するために、本著では言葉のニュアンスにセンシティブになること、言葉は自分ごとではなく相互作用の力によって昇華していくことを説いている。私自身過去の経験から孤立する時間が長く、そのせいかつい主観で話してしまうことも多いため、今後さらに成長するための課題にしたい。2025/04/29

うつしみ

15
言葉は多義的であり、物語を生み出し感情に働きかけるものである。だから言葉が他者の心にもたらす作用について、私達はセンシティブになる必要がある。言葉を尽くして伝えようとする姿勢に人は誠実さを見、そこに心を動かされるのである。筆者のそんな語りが綴られている。平易な文章だが内容は深い。論理的整合性や合理性などは、言葉が人の感情にもたらす効果に比べれば下である。それゆえ言葉は使い方次第で善にもなれば悪にもなる。指導者は丁寧に、繊細に言葉を紡ぐ意識を持つべきだし、そういう人を見極めなければならないと思った参院選前。2025/07/17

gorgeanalogue

12
自己啓発めいた文体だが、記号論を越えようとするかのように、井筒俊彦などが参照されて汲み尽くしがたい広がりと深さを持っている。「情動としての言葉」「意味という場」などが重要な鍵であると思うが、ところどころに感じられる文章と論理の跳躍(のようなもの)が人間精神と言葉の折り合い、というだけではなく、言葉に備わる未来に向けた不分明な投企のような契機を感じさせ(終章で言及される「反映」)、それが(隠された)読みどころかもしれない。2025/06/12

じゅん。

10
言語学はほんとに面白いな。特にこの本は、言葉が生み出す誤解、それでもなお幸せはそこにあると、伝えてくれる。また内容だけでなく、ちりばめられた詩的な表現はとても胸を打つ。「私たちは自分だけの経験を表現するとき、自分にしかできない述語づけをします。そのような言葉は、没個性的な暗闇に輝く宝石をちりばめて、互いを照らしあって美しく輝くように印象的です。なぜなら、そのとき述語はもはや一般的な意味を伝える記号ではないからです。それはさまざまな経験を意味として相互に反射する星座をなします。」p258 美しい。2025/04/30

@Crocus/iro

9
今の言葉どういう意味?会話中に時々感じるモヤモヤ感。相手に聞いてみたいけれど、私もその様に感じさせているかもしれないと不安になる。それはどんな仕組みでそう感じるのか言葉の本質を見つめ、論理的に孤独、誤解、焦燥感や苛立ちなどとどのように付き合ったらいいかを言語哲学者の視点からみていく。言葉にセンシティブになることは自分自身と向き合うことであり、その重要性を著名人たちの言葉を引用し分析を語る。「言葉の力」を知れば知るほど影響力は絶大で少し怖い。対話では双方が快い場となるよう心掛けていきたい。2025/08/02

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