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内容説明
「失われた十年」は今日、依然として尾を引いている。だが、そもそもバブル経済はレーガノミックスによって誘発されたのではなかったか。ケインズ政策への懐疑、マルクス主義経済の失敗によって、いままた回帰するアダム・スミスの「自由放任」の経済――。その発展型が、今日世界を席巻するアメリカ型市場経済であり、その本質は、あくなき富の追求である。本書は、経済学の存在理由を根本から考え直し、日本の構造改革をはじめ、アメリカ型「グローバルスタンダード」が果たして正しいものなのか、冷静に問い直す。現在の日本人は豊かさを実感できず、満腹にさらに何を詰め込むかという、ある種の病に陥っている。「足るを知る」ことがないかぎり、市場原理は人間の欲望を際限なく助長させるだけである。貧乏を克服し、豊かさを手中にしたいま、私たちは経済の目標を何に置くべきか。本書は、新しい価値観の時代を生きる、もう一つの視座を与えてくれる一冊である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒダン
17
アダム・スミスが神の見えざる手と言って市場至上主義として資本主義経済が始まり、それでは弱者が切り捨てられてしまうとしてマルクスが資本主義を否定し、その流れでケインズが失業と飢えの恐怖がないような資本主義経済を作ろうとした。ケインズの構想は理想としては素晴らしかったが、ただ乗りしようとする大衆の卑しさと当選のためにばらまきを約束してしまう政治家のせいで財政赤字ばかり増えることとなった。一方でソ連崩壊を資本主義の勝利と見なす者によって、今ではアダム・スミスの時代の経済学に逆戻りしてしまっている。2016/08/07
καйυγα
3
No Comment.2014/03/20
うりぼう
3
飯田教授は、単位に厳しいので有名でした。でも、心豊かな先生だと思っていましたが、この本を読んでそのとおりだと判りました。2002/10/22
depo
2
図書館リサイクル本で、以前から持っていたが、今読了。なぜもっと早く読まなかったのか。後悔している。面白かった。2019/10/21
LOVE弁慶
2
図書館。最後の著書なのかな。なんとなく理解した気になりましたが。本当に経済学はそのときそのとき時代を読み解くことなので新しいものを読むべきだなと痛感。2012/09/19