内容説明
在日コリアンの家庭に生まれた著者がさまざまな劣等感、生きづらさを抱えながら成長していくプロセスを振り返って描いた初の「自伝エッセイ」。キムチ、寿司、焼肉、チョコレートなど、さまざまな食べ物をキーワードにした連作短編集でもあります。タイトルの「はざま」とは日本と韓国という2つのアイデンティティのみならず、親と子、男と女、仕事とプライベート、妻と母……など、さまざまな「はざま」の中で、いわばもがき苦しんできた彼女の生き方を象徴的に示す言葉です。
目次
第一話 愛しのキムチ ―まえがきにかえて―
第二話 珈琲を飲むとき
第三話 寿司におもう
第四話 カップ麺を食べ続ける
第五話 酒とともにうたう
第六話 嗚呼(ああ)、フライドチキン
第七話 肉をともに食べるひと
第八話 ゆで豚(ポッサム)を前に
第九話 ベーグルにクリームチーズたっぷりで
第十話 手作り、のチョコレート
第十一話 ダイエットとの長い付き合い(前編)
第十二話 ダイエットとの長い付き合い(後編)
第十三話 ホテルでアフタヌーンティー(前編)
第十四話 ホテルでアフタヌーンティー(後編)
第十五話 サンドウィッチを片手で
第十六話 しめは、ヌルンジかお茶づけか ―あとがきにかえて―
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
58
【食べることは生きること】在日コリアンの家庭に生まれ育った作家が、母親との確執・自分の中にある根強いルッキズム・卑屈さ抱えながら作家への道を歩んだことなどを振り返り、「食」を手がかりにして著者自身の来し方を綴った、自伝的エッセイ。<我が家では圧倒的に「説明」が足りなかった。子どもに説明など不要と思ったのだろう。そもそも説明することなど、頭の片隅にもなかったのかもしれない。ことに韓国の風習や文化について、あるいは韓国の人たちの癖や習慣を、日本とはこう違う、ああ違うと、誰も言葉にしてくれなかった>と。ええ。⇒2025/09/23
たっきー
12
帯には自伝的エッセイとある。在日コリアンとしての自身のアイデンティティの揺らぎがタイトルの「はざま」に表されている。韓国人であることを隠し、自信がもてなかったからこその犠牲と奉仕によって相手に好かれようとするところが男性との交際にも影をさす。また親からも厳しく服装から仕事にまで口を出され、自分を押し殺して生きていた様子が読んでいても苦しくなった。自分を曲げて生きるのは本当にしんどいだろう。まだ著者の小説は未読なので読んでみたい。2025/03/20
どら猫さとっち
9
食を通じて、自らの人生を描いた自伝的エッセイ。日本と韓国にルーツを持つ著者が、本書でたどり着いたところ。どこにいても、国籍が何であれ、自分以外の何者ではない自分であること。キムチからお茶漬けまで、味の記憶は生きる記憶へとつながる。ウェブ連載時から読んで、改めてその記憶がアルバムを見るように愛おしくなる。著者は先の週刊新潮の某氏連載コラムで、名指しで誹謗中傷を浴びせかけられた。デビュー先の出版社で、こんなひどい仕打ちをされるとは。こんな素晴らしい作家を、出版社は陥れないでほしい。2025/08/22
フロッグ
8
初読みの作家さん。帯に惹かれて読んだ。在日コリアンの複雑な感じが分かりやすく伝わってきた。「サンドイッチを片手で」では、子育て中の母親の大変さが目に浮かぶ。そこは日本も韓国も同じようなものなのだなと思った。機会があったら小説も読んでみたい。2025/03/27
門哉 彗遙
6
このエッセイは深沢潮さんの人生の棚卸しだと終わりに語っている。独裁的な父と支配的な母の元、厳しく暴力的に育てられたそうだ。学校では自分のアイデンティティに苦しみ、ルッキズムに支配され続け、恋愛願望と過度な他人への奉仕、両親の束縛から解放されるために見合いを繰り返したことなど、赤裸々に「食の思い出」と共に語られている。いろいろな食べ物が美味しそうに描かれていて僕も食べたくなった。特に豚肉を白菜で包んで食べるポッサムをさっき妻にリクエストしたばかりだ。2025/08/06
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