内容説明
原因不明の連続突然死事件を調べる探偵の前沢恵子は、かつて新興宗教団体内で起きた出来事との奇妙な共通点を発見する。恵子と異端の物理学者・露木眞也は「ヴォイニッチ・マニュスクリプト」と事件との関連性に気づく。だがそのとき、東京やその近郊では多くの住民の命が奪われはじめていた――。
装画/Sarah Jarret 「Woodland Sleeper」
装幀/坂野公一(welle design)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
224
鈴木 光司は、新作中心に読んでいる作家です。著者久々の新作、『リング』を超える新たな恐怖という触れ込みですが、新型コロナウィルスを経験した今となっては、微妙な感じでした。植物が地球を支配しているのかも知れません。 https://www.kadokawa.co.jp/topics/13593/2025/04/17
hiace9000
142
SFホラーの名手が放つ衝撃の新作。現存する世界一有名な未解読文献「ヴィオニッチ手稿」や生物起源の人類進化説、科学データに基づいた専門用語を巧みに絡めながら、作中世界観に読み手を「ありえるんじゃね?」とじわり洗脳するリアリティは、かの三部作同様、もはや悪魔的・詐欺的快感。ミッション遂行に駆けるスリルライド的一気読み展開もヒーロー露木をトム・クルーズ化、ヒロイン恵子をヘイリー・アトウェル化してしまう勢い。葉緑体の反乱は、瀬名さん『パラサイト…』のミトコンドリアを彷彿させるが、書名含め鈴木光司らしさ満喫の一作。2025/05/31
モルク
90
南極観測船の帰還に際しての土産として阿部二尉が3人の友人に送った南極の氷床深く掘り出さた氷。オンザロックとして美味しく飲むはずだったそれは…。ワクワクするすべりだし。亡くなった息子の忘れ形見である孫の存在を探す探偵。その子の母は…そして15年前の新興宗教内での謎の集団死…様々に絡んでくる事象。ところどころ私には難しい用語と蘊蓄が気持ちを萎えさせる。好きな人はこの上なく興味をそそわれると思うが残念ながら私にはあまり合わなかった。疲れた。2025/07/24
まちゃ
88
鈴木光司さんといえばの「リング」シリーズ。怖いもの見たさで手に取りました。しかし、本作はホラーというより、「植物視点での地球生命史」というテーマで科学と神話が融合したような壮大なSF小説でした。予想外でしたが、これはこれで面白かったです。「植物が支配する地球」に既視感。最近読んだ伊坂幸太郎さんの「楽園の楽園」と似たコンセプト。2025/06/01
yukaring
81
『ユビキタス』~遍く行き渡る…。南極で掘り出された氷、未解読のヴォイニッチ手稿、カルト教団の謎の集団死と魅力的なワードが冒頭から並ぶ。バイオホラーでありSF、哲学、宗教学など様々なジャンルを内包した壮大なスケールに引き込まれる新感覚のストーリー。探偵の前沢恵子は都内で頻発する原因不明の突然死について依頼を受け異端の物理学者・露木と調査を進める。しかしその間にも犠牲者は加速度的に増えていく。この悲劇の連鎖を止められるのか?全てが繋がり迎える衝撃かつ神秘的とも言える結末。果たして人類に未来はあるのだろうか…。2025/05/23