身近な薬物のはなし - タバコ・カフェイン・酒・くすり

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身近な薬物のはなし - タバコ・カフェイン・酒・くすり

  • 著者名:松本俊彦【著】
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 岩波書店(2025/03発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000249003

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内容説明

酒,お茶にコーヒー,煙草,処方薬や市販薬……私たちはアルコールをはじめ,様々な「薬物」とともに生きている.なぜ人は薬物を求めるのか.乱用に至る人々の背後にある苦しみや生きづらさとは.精神科医で依存症研究の第一人者が,身近にある薬物の歴史や私たちの暮らしとの関わりを語る.好評ウェブ連載,待望の書籍化!

目次

第1章 本当に有害な薬物とは?
最大規模の害を引き起こす薬物
嗜好品と文化
薬物文化のグローバル化と「サイコアクティブ革命」
米国が体験した二つのオピオイド危機
わが国の医薬品乱用・依存
医薬品乱用の背景にあるもの
第2章 アルコール(1) ストロング系チューハイというモンスタードリンク
ストロング系チューハイへの警鐘
ストロング系とは?
なぜストロング系は危ないのか?
なぜストロング系は愛されるのか?
アルコールによる健康被害
アルコールによる他者・社会への害
第3章 アルコール(2) 人類とアルコールとの戦い
理性を曇らせる飲み物
ジンとの戦い――ジン・クレイズとジン規制
米国におけるアルコール規制
他の国々におけるアルコール規制
なぜアルコール規制はむずかしいのか
第4章 アルコール(3) 人間はなぜ酒を飲むのか?
生き延びるためのアルコール
アルコールのために集い,つながる人々
なぜ一部の人は飲みすぎるのか?
アルコール問題の背後にあるもの
第5章 カフェイン(1) 毒にして養生薬,そして媚薬
「不自然」なドラッグ
不思議と非難されない依存性薬物
カフェインの薬理学
エナジードリンクをめぐる問題
毒にして養生薬
媚薬としてのカフェイン
第6章 カフェイン(2) 人類とカフェインの歴史
ヨーロッパに「近代」をもたらした薬物
カフェインの起源と人類との出会い
カフェインに対する社会の反応
カフェインが引き起こした悲劇
人が集える場所をつくる薬物
第7章 市販薬 セルフメディケーションは国民の健康を増進したか?
市販薬乱用・依存の現状
なぜ若者たちは市販薬にアクセスするようになったのか?
市販薬は本当に安全なのか?
「濫用等のおそれのある医薬品」指定をめぐる諸問題
「モノ」の管理・規制だけでなく,痛みを抱える「ヒト」の支援も!
「ダメ.ゼッタイ.」はもうおしまいにしよう
第8章 処方薬 医療へのアクセス向上が作り出す依存症
「選択的に」忘れられる薬害
睡眠薬・抗不安薬依存症とは?
睡眠薬・抗不安薬依存症の周辺
なぜベンゾ類はかくも問題となったのか
対策の功罪と精神科医療の課題
本当に解決すべきなのは「不安」なのか?
第9章 タバコ(1) 二大陸をつないだ異教徒の神器
近年とみに立場が悪くなっている薬物
タバコとは――その薬理作用と有害性,依存性
タバコの起源と文化的意義
タバコへの弾圧と抵抗
タバコ嫌悪に底流する差別意識
第10章 タバコ(2) 社会を分断するドープ・スティック
人を怠惰な馬鹿にする薬物?
社会システムによるタバコ依存症の拡大
タバコの衰退
健康ファシズムの暴走なのか?
公衆衛生政策は現代の「異端審問官」なのか?
第11章 「よい薬物」と「悪い薬物」は何が違うのか?
「ビッグスリー」と「リトルスリー」
薬物を使う人類
「身近な薬物」と「身近ではない薬物」の違いとは?
なぜ大麻は違法化されたのか?
国際的潮流の大転換
「よい薬物」も「悪い薬物」もない
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

108
どれも合法なのでなんともいえないし、私自身もタバコは毎日40本、お酒は缶チューハイ、ウイスキーと毎日飲んでいた。結局体を壊してどちらもやめた。今飲んでいる人や吸っている人が悪いとも思わないし何度も意識をなくしたこともあるし二日酔いで休んだこと数知れず。ただ日本の中では24時間どこでも買えるし、お酒に関しては外でも飲める。道端や駅で倒れている女性もいる、この本はそういった薬物の弊害を書いた本。大人にはもう遅いけど、これから大人になる子供たちには薬物の怖さを重々知ってほしい。どうすれば良いのかな?2025/05/11

アキ

91
タバコ、コーヒー、アルコールは、共に社会に深く浸透している薬物である。アヘン、コカイン、大麻も依存性を引き起こすことでは同様なのに、なぜ規制されているのか?薬物依存が専門の精神科である著者は、現在もベビースモーカーである。それだけにタバコに関する歴史的な経緯と考察には並々ならぬ熱情を感じる。著者の結論は、3点。薬物の違法・合法は政治的に決定される、よい薬物も悪い薬物もなく、あるのはよい使い方と悪い使い方だけ、そして悪い使い方をする人は何か困りごとを抱えている。薬物問題の本質は人間と社会の側にあるのです。2025/06/27

ケイトKATE

25
長年に渡って、薬物依存症の治療に携わってきた精神科医松本俊彦は、アルコール、カフェイン、タバコがビッグスリーとして人類に最も健康被害をもたらしていると断言している。なのに、規制(特にアルコール)がされないのは、人間社会における愛好者が多いからであった。本書では、薬物と人類の関わりについて歴史から紐解いおり、薬物の使用が歴史を変えてきたことは新たな発見であった。薬物について、松本俊彦は「よい薬物」も「悪い薬物」もない、「よい使い方」と「悪い使い方」があるだけと結論付けているが、大いに納得できる。2025/06/20

coldsurgeon

11
薬物依存症治療を専門とする精神科医による、処方箋を発行する権限を有する医師が読むべき書。アルコール、カフェイン、たばこという依存しやすい薬剤のビッグスリーを中心に、興味深い孫説が展開される。薬物の違法/合法は、医学的にではなく、政治的に決定される。「よい薬物」も「悪い薬物」もなく、あるのは「よい使い方」と「悪い使い方」だけ、ということ。「悪い使い方」をする人は何か別の困りごとを抱えている。LSDやMDMAという幻覚薬が依存症や難治性うつ病、PTSDに有効である、とか、大麻由来成分が難治性転換に有効とか、2025/05/29

Melody_Nelson

10
単に医療系の話だけでなく、薬物を軸にした歴史も語られていて新鮮だった。主な内容としては、中毒性をもつ「アルコール、カフェイン、ニコチン」&市販薬について。ストロング系チューハイは飲みやすいのでアル中になりやすいというのは納得。あと、手軽に買える市販薬からの健康被害(ODなど)も怖い。タバコ(ニコチン)も中毒性はあるけれど、「正気を失う」ということはほぼないであろう点で、やや異なる印象。合法/違法性など「政治的に決定される」というのは、酒造メーカーも製薬会社も力を持ってるからなのでしょうか…。2025/04/21

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