このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った

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このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った

  • ISBN:9784000229845

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内容説明

梅田スカイビル,京都駅ビル,札幌ドーム…….「集落への旅」を起点に,生涯,「建築に何が可能か」を問い続けた哲人・建築家.氏を師と仰ぐ都市論の第一人者を相手に,自らの人生と思想を縦横無尽に語った対角線の対話.一月に逝去した原が,最後まで全力で取り組み,遺したオーラルヒストリー.[図版多数・口絵一丁]

目次

はじめにというおわり 吉見俊哉
第1章 空襲を潜る――国家の建築と谷間の建築
東京大学と子弟,建築と社会学
丹下健三と戦後日本
空襲下の川崎から伊那の谷へ
〈自由〉の感覚が生まれたとき
マイナスの中心からの風景
建築家とは誰のことか
閉ざされた谷間に住んでいた人々
第2章 旅する建築――逃亡者の集落へ
なぜ,集落調査に向かったのか
国境を越える方法
逃亡者の集落
集団的な記憶の再生は可能か
自然が多様な空間言語を生む
仕掛けとしての建築
「非ず非ず」が新しいものを生み出す
第3章 夜のはずれで――自滅の先にあるもの
均質空間とはそもそも何か
建築の局所性
資本主義にうっちゃりをくわす方法
谷間には谷間のものができる
「離れて立て」
『それから』の世紀としての二十世紀
資本主義と神のあいだで
三千代の視点から読み返す
量子力学と「場」
「記号場」としての建築
人口増加と殺人の二十世紀,あるいはモダンとポストモダン
全体主義はいつも「凶悪な敵」を必要とする
場面としての都市へ
引き算をどう入れるか
第4章 場面を待ちながら――反抗的人間と建築
建築,あるいは場面を待つこと
逃亡者としてのヴラジーミルとエストラゴン
キリスト=マルクスを拒絶するカミュ
三度,殺されるカミュ
「奴隷の世紀」としての二十世紀
ユダヤ・キリスト教的時間と地中海的時間
空間を横切る
再び,建築家とは誰のことか
よく観察すること
「生きる」と「澄む」と「住む」
追 記
原広司の思考のネットワーク(トピックカード一覧)
本書関連年表
原広司語彙集(付箋集)
おわりにというはじめ 吉見俊哉
写真・図版提供/出典一覧
《原広司語》注釈
原広司 List of Works

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ganesha

2
梅田スカイビルや京都駅ビルを設計した建築家が、その研究室に在籍していた社会学者との対談で語った自身の人生、研究、作品。丹下健三に対する下の世代とゼミでの現地調査、逃亡者と集落との付き合い方が印象に残った。2025/06/07

kentaro mori

2
⚫︎都市と集落の違いはどこにあるのか。はっきりは言えないけれども、表象していくことを意識するのが都市であって、それを意識しないのが集落だと思います。⚫︎こっちと向こうが向き合っているという谷間の地形は非常に重要です。人間存在のあり方や対話を暗示している。それを、李白は雲と一緒に捉えました。自由に動く雲が浮遊する様が、有孔体、そして向かい合うということ、それらがそれぞれ繋がっていることは説明が必要かもしれません。しかし、実は谷間に屋根をかけると、そのまま建築ができあがります。そこで発生するのが雲です。雲が2025/05/30

mori-ful

1
「僕が民主主義をどういうふうに理解しているかと追うと、それは雑巾で床を拭くことです。今でも自分で床を拭いています」 「つまり私は鴨長明やソローが、比喩的な意味ではなく建築家であったと言っているのです」 「ソローの『森の生活』は、ほぼ次のように要約されるでしょう。まず、人の人生は、それぞれ独立した人生であるから、その都度実験であり、他の人々の経験などあてにならない。次に、それ故、現実をよく観察することが、人生の基本になる」 (原広司『このとき、夜のはずれで、サイレンが鳴った』)2025/07/06

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