内容説明
口上
酒と女は気の薬さ、とかくこの世は色と酒。小唄の文句にもあるとおり、酒の席で色気の話をして叱られることは、まずあり得ない。いや、むしろ無くてはならぬものの様な感じ。クリープを入れないコーヒーより、お色気ばなしの出ない酒席の方が何倍かつまらない。
ところが、このお気色ばなしも、自分がいかにもてたか……ということをとくとくとしゃべるぐらいイヤ味なものはない。どちらかと言うと、ふられた話、失敗談のほうが、喜ばれる。しかも、その話に酒落た落ちでもついていようものなら、それだけで、その場のスターになれること請け合い。とは言うものの、だれにでも、そんな、手ごろな話が出来るとはかぎらない。そうした経験談をもたない人はどうするか……? 酒席だけではない、世間ばなしの中にチョイとはさまれるお色気ばなし、これを、さりげなくサラリッとやれば、かたくるしい話も柔らかくなって商談などス厶ーズに進むこと、これまた請け合い。そんなときには、どんな話がよいか……?
お色気ばなしは男性だけのものではない。ホステスさん芸者さんでこの手の話の功者はたちまち売れっ妓である。ところが、ところがである。一歩過まるとプロ以外の女性がお色気ばなしをすると意外にエゲツナくなることがある。すぎたるは、およばざるがごとしだが、チャーミングな若奥様、キリッとしたOLが、チョロッとロをすべらして自身がポッと頬を染めるお色気に目を細めない男性はまずあるまい。しのぶれど、色に出にけり我が恋は……と、いうのが女性のお色気であろう。では、そのお色気とは……?
以上いくつかの「?」に答えてくれるのがズバリ江戸小咄である。
昭和四十八年十二月
二代目露の五郎
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