中公新書<br> 書とはどういう芸術か 増補版 筆蝕の美学

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中公新書
書とはどういう芸術か 増補版 筆蝕の美学

  • 著者名:石川九楊【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 中央公論新社(2025/03発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121028495

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内容説明

書は紙と筆と墨の芸術である。墨跡には深度・速度・角度と力が秘められている。
書の美は草書体に萌芽し、楷書体とその基本運筆「三折法」の成立により完成したが、そこには石と紙の争闘史があった。
筆と紙の接点に生じる力(筆蝕)こそ書の美の核心で、文字でなく言葉を書くところに書の価値はある。
甲骨文から前衛書道までを読み解き、書の表現を歴史的、構造的に解明したロングセラーに、新章「現代の作家の書」を収録。



■本書の目次

増補版発刊にあたって
はじめに

序章 書はどのようなものと考えられてきたか

「書は美術ならず」論争/「書は文字の美的工夫」/「書は文字の美術」/「書は線の美」/「書は人なり」/その他の書論/従来の書論を超えて/書は筆跡、書字跡である/書は肉筆である

第一章 書は筆蝕の芸術である―書の美はどのような構造で成立するか

肉筆と筆蝕/筆蝕とは何か/書は「深度」の芸術である/書は「速度」の芸術である/書は「角度」の芸術である/深度と速度と角度のからみ合い/書は「力」の芸術である/構成

第二章 書は紙・筆・墨の芸術である―書の美の価値はなぜ生じるのか

紙・筆・墨の前史/抽象的表現空間、「白紙」の発見/抽象的刻具、毛筆の発見/楷書体の成立/抽象的刻り跡、墨の発見/紙が石に勝利する条件/草書体、行書体、楷書体/三折法の逆襲/つながる草書、狂草/顔真卿「顔勤礼碑」の意味/黄庭堅「李太白憶旧遊詩巻」の
革命/書の芸術性の根拠

第三章 書は言葉の芸術である―書は何を表現するのか

書は漢字文明圏の芸術である/日本の書と中国の書/日本の書と背景/書は文学である

第四章 書は現在の芸術でありうるだろうか―書の再生について

書の近代/現代の書/近代詩文書/伝統書道の変貌/素人の書/書の再生

第五章 現代の作家の書

戦後の書の語られ方/作家たちの書をどう見るか/岡本かの子の書/川端康成の書/松本清張の書/三島由紀夫の書/中上健次の書

あとがき
増補版あとがき
図版出典

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

キンケード&グリーンウェル

4
結構難しい書きぶり。著者の書への考え方、向き合い方の集大成。筆や紙の前、篆刻からの書の歴史、現代の書の考え方を説明。筆触。高村光太郎の考え方を肯定している点は同感。2025/07/15

預かりマウス

4
序章や第一章あたりは、論争的で独断的な調子に面食らう。新書としてはひどい悪書ではないかと思う。しかし第二章あたりから著者の思想が見えてくる。その所論はかなり哲学的で、「書く」という行為を実存レベルまで掘り下げることと、漢字の歴史を辿り書道の伝統をきちんとおさえること、これが本書の軸となっている。一見伝統主義的な主張にも思えるが、どうも著者の立場は反-反伝統主義(前衛書道)、反-伝統(大衆書道)であって、書道の伝統を西洋哲学的に自覚化した上での取り組みが必要ということのようだ。とても面白く、奇書と言える。2025/05/30

桐葉

3
昨年この書家の個展を見てとてもショックを受けたことと書評にも出ていたので読んでみた。しかし,まったく書道というものを知らないのでとても難しく,何回も読み返して3カ月くらいかけて読了。筆蝕という言葉を知った。一つの知見を得た。2025/11/04

みのこ

2
軽々と読めず、なんとか読み終えた。書の歴史を知る上で、鑿→筆というのは全く想像していないことだった。私はここ最近習字を習い始めたひよっこなので、まだ書としての良し悪しや著者の苦言も刺さるようで刺さらない素人だと改めて思った。2025/10/09

1dv151097262m0k

2
図書館本/書とは紙と筆と墨の芸術であり、筆蝕こそ書の美の核心で、文字でなく言葉を書くところに書の価値がある。書の歴史や成り立ち等、丁寧な解説で興味深い作品でした。書道を嗜む者として、新たな気付きを感じました。2025/08/17

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