対話の害

個数:1
紙書籍版価格
¥1,650
  • 電子書籍
  • ポイントキャンペーン

対話の害

  • 著者名:宇佐美寛【著】/池田久美子【著】
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 株式会社さくら社(2025/03発売)
  • 蝉しぐれそそぐ!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/3)
  • ポイント 300pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784904785874

ファイル: /

内容説明

脊髄反射で答える学生でいいのか。「白熱教室」批判を軸に自由かつ緻密に考える力の育成を説くさまは鮮烈。

マイケル・サンデル氏の教育実践「ハーバード白熱教室」で謳われる「対話」。
しかしそれは、学生からの質問を許さず、何を考え何を考えないかの制約条件を氏が一方的に決め、学生が自由に考えることを禁じている「対話」であり、根源まで考え抜く力を鍛えるべき哲学の授業として適切なのだろうか?
外国の「偉い」思想家の言うことに容易になびく「知的植民地性」を指摘し、単なるサンデル批判に留まることなく教育方法についての無自覚・無知への反省を促す、骨太な教育論。

【著者】
宇佐美寛
1934年神奈川県横須賀市生まれ。東京教育大学教育学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程修了、教育学博士。千葉大学名誉教授。東京教育大学助手、千葉大学講師、同助教授、教授(1993-97年教育学部長、1998-2000年東京学芸大学教授併任)。1961~62年米国、州立ミネソタ大学大学院留学(教育史・教育哲学専攻)。九州大学、山梨大学、岩手大学、山形大学、秋田大学、茨城大学、上智大学、立教大学、早稲田大学等の非常勤講師(客員教授)を務めた。2023年没。

池田久美子
東京生まれ。1974年東京教育大学教育学部教育学科卒業。1978年東京大学大学院教育学研究科修士課程終了。1981年慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位修得満期退学。信州豊南短期大学教授、三育学院大学講師を務めた。専攻は教育哲学、国語教育。2019年没。

目次

はじめに
序論(導入)
第一章 考える自由 ――これは尋問だ
第1節 私はどう授業したか
第2節 比較する
第3節 これは尋問だ
第4節 考える自由が奪われている
第二章 問いの正義 ――教師の問いを疑わせよ
第1節「どちらか。」では、だめだ
第2節 構造の正義を問え
第3節 正義を問う資格があるか
第三章 例の悪用 ――実は思考封じなのだ――
第1節 責任回避のための例
第2節 例の氾濫
第3節 自分を隠すための例
第四章 学習活動の構想 ――発言は要るのか――
第1節 考える時、話は途切れる
第2節 対話は何を思考させるのか
第3節 ゆっくり読ませる
第4節 ゆっくり書かせる
第5節 メタ対話が要る
第五章 学生の自己 ――反射的に答える学生でいいのか
補論
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ムーミン

13
「サンデル氏がどう言おうと、学生はまず、自分の頭で疑わねばならない。それが、学生の自己の働きである。サンデル氏の自己とは異なる、別の自己が働いていなければならない。そして、この自己を、教師は育て、鍛えなければならない。授業は、この自己を育て、鍛えるように構想されなければならない。」p.178 「教師は、学習者によって超えられるのを喜ぶべきものである。」p.1882018/03/06

キャメルズボン

4
第一章を読むと「思考実験を全否定しているのか」と驚く。サンデル氏の「路面電車問題」(オリジナルはP・フットのトロッコ問題である)の設問にツッコミを入れまくり問そのものとサンデル氏の授業態度が不正義であると糾弾している。たとえ話を始めると逐一ツッコミを入れて遮る人は嫌われると思うが、本書ではその大事さを強調し、対話ではゆっくり考える余地が切り捨てられ、与えられた枠組みの中での思考を強いられると指摘。尤もであるがそれもまた一面的な考えである。2021/10/05

nanaco-bookworm

3
そもそも調子よくぽんぽん話し合いが進む授業への疑問があった。堀川の対話を聴き合うしっとりした授業への憧れがある。その一方安東小の野性的な対話授業にも惹きつけられた。だから、池田久美子さんや宇佐美寛さんは、そこをも批判しているのか興味があり本を手に取った。同僚が机上に置いていたので借りた本。マイケルサンデル氏のように学生をちょっとだましているような性急な授業を批判している。考え考えながらの自由度の高い対話授業を批判しているわけでは無いことを知り安心した。大人に騙されない子を私は育てているだろうか。2017/12/02

フィリッポ・インザーギ

2
とても難しい。ただ、なんでもかんでも思いついたことを言わせるのが対話ではない、というのはとても納得できた。まず、書かせること。書かせるってことは思考を生む。2019/01/02

ひらり庵

2
「白熱教室」に代表される対話型授業が、学生の能動性を促進するように見せて、実は徹底して学生を受け身にしていると指摘している。言っていることは正しいが、何かに似ているなと思ったら「美味しんぼ」だった。素材のおいしさ(能動性)至上主義で、農薬・化学調味料(対話型授業)を全否定するところなど。また、筆者の池田氏は、『ある憲兵の記録』のエピソード(撫順戦犯管理所で強要されたと思われる)を事実として引用している。その鋭い批判精神がなぜか中韓関連だと発揮されないのも、「美味しんぼ」によく似ているのだ。2017/04/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9795374
  • ご注意事項

最近チェックした商品