内容説明
二〇一七年、フランス中部に位置する都市リモージュの新聞社に勤める事件記者ジャンゴ・レノールトは、亡き祖父マルセルの遺品整理のため、彼が晩年を暮らした寒村を訪れる。戦後、対独協力者として断罪された祖父は、一族から距離を置いてこの地に隠れ住んでいた。生前会うことがなかった祖父が遺したのは古書の山と、二十あまりの黒檀の小箱──そこに隠された意味とは何か? ジャンゴは西洋古典学を研究する大学院生ゾエ・ブノワの協力のもと、祖父が希求した真実を求め歴史の迷宮へと足を踏み入れる。〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が満を持して贈る、知的探究の喜びに満ちた長編ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
162
高田 大介は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、西洋古典学に関する著者の博識が気になり、高尚過ぎる内容、読者をかなり選ぶ作品でした。 https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/97844880291972025/06/25
オフィーリア
55
文化・政治・歴史・民族・音楽、膨大な情報量の洪水で読者を溺れさせてくる一冊。圧倒される密度の蘊蓄や議論が帯の通り読者に知的探求の喜びを教えてくれる。これだけ多岐にわたるテーマをスラスラ読ませ、対位法という概念でまとめあげ作品として仕上げきった作者様に脱帽2025/06/24
geshi
32
あらすじから主人公が祖父の遺した黒檀の小箱の謎を追う歴史ミステリだと思っていたが、それ以上のボリュームで差別の話題が繰り広げられ、小説を読んでいるのか思想書を読んでいるのか分からなくなった。音楽の歴史ミステリの軸と浦テーマとして差別問題が重層的に重ねられる対位法的構造は理解できるけど、なかなか読み進めにくい。作者自身が体感しているであろうフランスのきな臭さ、意識していない差別、貧富により再生産する差別、現代の問題に警鐘を鳴らし、「正しさ」に向かい合う姿勢を問われ、物量以上にヘヴィーな読書だった。2025/05/04
まそお
27
やっと読みおわった。楽しんで読んだけど、細部まで理解するには知識不足が否めないなァ…と感じたのでお勉強していつかまた読み返したい。高い塔の童心でもそう感じましたが、この物語にも静かに燃える怒りがありました。世の中はいつだって理不尽だけど、諦めちゃだめなんだよな~。2025/07/01
信兵衛
22
知的好奇心旺盛の方にはさぞ面白いのかと思いますが、正直なところ私には荷が重かった、と言わざるを得ず。そのためついつい飛ばし読み。2025/06/13
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