山と溪谷社 ヤマケイ文庫 魔女の植物園 魔女が大切にする37の植物

著者名：西村佑子

山と溪谷社（2025/03発売）

• ISBN：9784635049900

内容説明

「魔女と植物」という組み合わせについてはそれほど違和感を持たれないと思う。というのは、魔女は強烈な有毒植物を使って人間に害を与える邪悪な女性だったというイメージがあり、また、魔女は薬草について豊富な知識を持っていて、それを用いて人のためになる医療行為を行う「賢い女」だったというイメージもある。つまり、良いも悪いも、魔女のイメージは植物と結びついているからだ。

本書は、その「魔女と植物」を結びつける歴史的背景やその関わりを、37種類の植物とそれにまつわる伝説やエピソードとともに解説する。

※本書は2014年2月に発刊された『不思議な薬草箱　魔女・グリム・伝説・聖書』を再構成し、加筆修正のうえ、文庫化したものです。


■内容
はじめに 魔女と植物

第1章 魔女がつくる薬草料理
魔女の薬草料理　魔女キルケ―の飲み物／キルケーの作ったキュケオーンのレシピ（麦角菌・蜂蜜・セイヨウオニシバリ・ミント・魔女草・モーリュ・アリウムモリー、クリスマスローズ）
ヴァルプルギスの夜の料理　魔女の厨で作る若返りの飲み物／魔女の姿が見える薬草（ハナハッカ・セイヨウカノコソウ）
女魔法使いの野菜畑ラプンツェル　（フェルトザラート）
白雪姫が食べた毒リンゴ（セイヨウリンゴ）
コラム：将軍マクベスの未来を占う地獄の雑炊（ドクニンジン・イチイ）

第2章 魔力を秘めた植物たち
魔女が空を飛ぶのは植物の力　空飛ぶ軟膏（ヒヨス・ベラドンナ・チョウセンアサガオ・イヌホウズキ・イヌサフラン・アサ・ケシ）
魔法の杖　アロンの杖とアーモンド（アーモンド・アーロンシュタープ）　
伝説になったマンドラゴラ（マンドラゴラ）
よみがえりの木ネズ（セイヨウネズ）　　　
魔法を解く花 （ハナニラ・アストランティア・マヨール・セイヨウイラクサ）
魔的な力と聖なる力の両方を持った木（セイヨウヤドリギ）
この世とあの世をつなぐユリの花（ユリ）
　
第3章 幸せをもたらす植物
富をもたらす木（セイヨウハシバミ）
ホレおばさんからの贈り物～最高の家庭薬（ニワトコ）
女性のための薬草　女神アルテミスの薬草（ヨモギ）／聖母マリアの薬草（ハゴロモグサ）／産婆（助産師）の守り草（ハナハッカ・ニガハッカ）
男性のための薬草（ヘンルーダ・ヤネバンダイソウ・ディル）
コラム：大きな病気の救いとなる薬草（ツルニチニチソウ・イチイ）

第4章 魔女の植物がみられるドイツの植物園
薬草と人間の橋渡しをしてきたパイオニア　
修道院の薬草園　ザンクトガレン修道院／ライヒェナウ修道院／ミヒャエルシュタイン修道院／メムレーベン修道院
大学付属植物園　ヴュルツブルク大学付属植物園　ハンブルク大学付属植物園
ヒルデガルトの薬草園　ヒルデガルトフォーラム（ライン河畔）・ビンゲン（ライン河畔）　ハイデルベルク薬事博物館
コラム：ハンブルクのスパイシー博物館

おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[Go Extreme]

魔女と植物の強い結びつき グリム童話の影響 舌と心を捉える味 若返りには忍耐と時間 麦の角と悪魔の爪 古代ローマの痛み止め 神経麻痺と錯乱状態 毒植物の女王 幻覚を生む軟膏 ヴァルプルギスの夜 拷問による供述 悪魔に魅入られた両親 真紅の鉄靴の処刑 弁明なき焼殺 冬に実る戦略 キスの許容 良い魔女の存在 魔除けとしての薬草 死を呼ぶ叫び声 魔女の薬草酒 呪いを解く星の花 富を約束する木 緑の球状の姿 ヤドリギの矢 純粋な存在として拝む 長寿を願う木 無病息災の願い 犬を使った掘り出し方 新たな生まれ変わり

2025/05/11

[Go Extreme]

魔女と植物の結びつきは物語により形成 引き抜かれると絶叫するマンドレーク 鍋をかき混ぜる魔女イメージは薬草調合に由来 若返り飲料には技術知識と忍耐が必要 飛行用軟膏で空中浮遊や幻覚が生まれる 魔女の力は魔力ある植物と結びついている 絶叫を避けるため犬に引き抜かせる方法 キャベツの葉の下から生まれる赤ちゃん 血のように赤く真珠のような露の玉がある花 ヤドリギだけは約束を交わしていなかった ユリの向きで石にされた兄の状態が示される 庭の薬箱と呼ばれるニワトコ がん治療に使われる救いの木イチイ

2025/04/26

[めめ]

とても面白かった。魔女に関する植物が細かく調べてある。イラストも豊富で、エドワードバーンジョーンズやウォーターハウスの口絵も小さいけど載っていて楽しい。ブロッケン山や童話のエピソードなど、情報量がてんこもりでバランスが良い。繰り返し読みたい一冊です。

2025/04/23