内容説明
エドガー賞最優秀新人賞ほか7冠の傑作スパイ小説
CIA職員シェーンの最後の任務は中東バーレーンの反政府運動を探ること。だが、爆破テロが国王の自作自演である疑惑が浮上し……
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヒロ
97
これまで読んできたスパイ小説とはまた違う感じの内容でした。こっちの方がよりリアルなのかなと思わされたし、特に人間関係で色々と苦労しているのは親近感が湧きました。バーレーンという普段馴染みのない国の話で、この国の抱える問題がスパイという視点から次々に明らかになって、それもまたこの話の面白い所だと思います。そしてミステリーとしても最後にはやはり驚きの展開が待っていて、最初から最後まで楽しく読めたと思います。2025/04/10
ナミのママ
86
壮大かつ重厚そして見事な回収。多数受賞に間違いない大作だ。2012年のバーレーン。読み始めてすぐ、この時代設定が重要な手がかりになると思い調べた。主人公は引退目前、CIA中東分析局に所属するシェーン。最後に大きな成果を上げたいと思いつつ反政府運動を探っている。中盤まで民主化運動がよくわからず苦戦しながら読んだが、以降の展開はまさに騙し合いの連続。誰が敵か裏切り者か。政治革命に巻き込まれていくシェーンから目が離せない【エドガー賞・国際スリラー作家協会賞・バリー賞・マカヴィティ賞】最優秀新人賞4賞他、7冠受賞2025/03/26
maja
25
バーレーンのCIA支局、年季の入った中東分析局職員コリンズは親子ほど年齢差がある若いエリート支局長を横目に彼の下で勤務する。コリンズの目を通してみるすべて・・。実に細かく描かれて進行するなまっとした湿度を感じるスパイもので、実際のきっかけとなった社会的事象を物語に置き換え地滑りしていくような緊迫した臨場感をみせるところはなかなかな迫力。著者は女性でCIAの中東作戦担当官であったとか。後半を読み返してからようやく全体を把握して楽しむ。2025/08/22
わたなべよしお
25
日常の中、誰も信用できないスパイの虚々実々が描かれる。そこで、現れてくる事実はなかなか面白い。が、ちょっとわかりにくいかなぁ。大筋では分かるのだが、細部が分からん、という感じかなあ。だから、最後に現れてくる現実の衝撃度がイマイチになった。これは読解力の問題なのか?それとも?2025/05/10
もち
14
「私は自分が無能なスパイだとは思っていなかった」◆反政府活動が燻るバーレーン。老いた諜報員のシェーンは、地道な活動を重ね、謎めく恋慕に焦がれつつ、陰謀の糸を手繰っていく。袋小路で、誰を裏切るか――。春と冬を見送った、孤高のスパイの物語。■最初、ミステリとしての魅力が分からなかった。多少の違和感はあれど出来事は地味で、劇的な動きもない。極限下の恋愛の輝きの方が大きかったから。ところが。決意を固めた一点から、少しずつ歯車はズレはじめ、怜悧に噛み合い、怒涛の突破劇と鬼神の所業が立ち現れる。2025/06/22