内容説明
智謀の将か、誠実の人か―
戦国乱世、異彩を放ち続けた天才軍師・黒田官兵衛)の、知られざる素顔に迫る!
* * *
……のちに関ヶ原の合戦のときにおける「黒田如水の行動の謎」といわれる一件も、かれが誠実であったという設定をすればすべて雲散霧消してしまう。かれについての謎めいた問題設定や、疑惑視もすべてこの「官兵衛は誠実な人物だった」というカギをはめ込めば、あらゆる疑いが解けてしまうのだ……【本文より】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kiyoboo
24
大河ドラマで気になっていた黒田官兵衛を童門冬二が書いたので早速読んでみた。歴史小説として非常に読みやすく、また「決定権はトップ固有の権限」などの言葉をちりばめてあり、ビジネス書としても楽しめるスタイルで大変よかった。主家の小寺家を織田側に従うように説き伏せて、秀吉の指揮下で存分に働き、早々に息子に家督を譲り、隠居しながらも存在感が大きく、小田原城攻めでは交渉に当たり逆に北条氏からお宝を授かるという男、官兵衛(如水)の人となりや秀吉の人柄や苦悩も見事に書かれていた力作だった。官兵衛ファンは必読だと思う。2014/03/03
はかり
11
これは小説ではなく、解説本だった。黒田官兵衛の人柄や思想にスポットを当て分析したもの。やや美化しすぎ感があるものの、うなずけることも多い。スタッフからラインへの転出というのも納得できた。2018/12/20
だんぶる
4
知略、謀略の人とみられることが多い黒田官兵衛ですが、この本では若干違って、誠実に自分の進みたい方向に向かって進んでいるだけだとのこと。スタッフからラインへという気持ちはよくわかる。スタッフをやり尽くせなくて、ラインになっちゃった感じなのですが、人のことを理解して、自分で決断できる人になりたいです。2015/08/17
おりっち
3
現在放送中の大河ドラマ『黒田官兵衛』を見ているので、興味があり読んでみた!!その時々の人の行き方を分析して、その時代を柔軟に生きた黒田官兵衛の生き方がわかった気がした。 ただ、著書の童門さんが本書は時代背景と、黒田官兵衛のやったことを分析し、評価している内容がメインになっているので、そもそもの読みたかった時代劇小説と一線を画していた。ただ、軍師という捉え方自体に疑問を抱き、全く新しい考え方を提示したのはすごく新鮮だった!!2014/07/03
伝書鳩
2
星1つ。黒田官兵衛の生きざまが伝わった本だった。軍師として、信長、秀吉に仕えた一生だったが、本当は大名として、人生を全うしたかったのではないか。軍師がスタッフの立場であり、ラインの人間として重用されないことを加齢とともに知ることになるが、さぞ無念だっただろうと想った。長政に、家康と握手した右手とは別の左手は、何をしていたのだと告げたこともその表れだろう。晩年は、長としての生きざまを長政に、家臣に伝えて、一生を終えた。現代の人の上に立つ人は、寂しさを感じていると思うが、学べる事がある。2016/02/11