双葉文庫<br> 上海灯蛾

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双葉文庫
上海灯蛾

  • 著者名:上田早夕里【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 双葉社(2025/03発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784575528299

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内容説明

1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇るこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。租界で商売をする彼のもとに、原田ユキヱという謎めいた女から極上の阿片と芥子の種が持ちこまれる。次郎は上海の裏社会を支配する青幇の一員・楊直に渡りをつけ、阿片ビジネスへ手を染めていく。やがて第二次上海事変が勃発。関東軍と青幇の暗闘が激化し、日本人であることを隠して裏社会の階段を上る次郎は窮地に陥る。軍靴の響き絶えぬ大陸で、阿片売買による莫大な富と栄耀に群がり、燃え尽きていった男たちの物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あまみ

15
序章を、思い起こすことなくほぼ一気に読んだ。終章の前を読んで、序章を思い出し読んだ。うん、この二人らしいなと、思った。  終章でのユキヱ心情には少し引っかかるものがあった。ストーリーの中では、あの一夜こそあったが、その片鱗も見せていないのに……。 とまれ、中盤以降は心が揺さぶられる物語であった。2025/04/19

ゆうこ

6
583頁にもなる本を一度の中だるみもなく読み切った。『俺の遺体は黄浦江へ沈めてくれ。・・・海になれたら、いつか雲にだったなれるだろう』日本の山村の貧しさを嫌い、上海に渡り、阿片に出合ったがために裏組織とつながり持つようになった吾郷次郎。阿片売買、裏切り、殺人、戦争。血生臭い世界にどっぷりハマった男の最期の願いが、海になり、雲になること。民族の垣根を取っ払い、目的を一つとし義兄弟の誓いまで交し合った中でも、中国人にはなりきらなかった男の太くて短い一生。冒頭の遺体を遺棄するシーンが最後とつながりました。2025/04/12

しばれるくん

5
20世紀前半の上海が舞台のノワール小説。中国で実在した秘密結社「青幇」やアヘンが話を牽引していく要素になっていて、登場人物達の思惑や利害関係の複雑さとアクの強さが凄まじいです。特に主人公の次郎がとても頭が切れていて度胸もあり、2章辺りからのめり込んで読んでしまいました。2025/04/27

路地裏のオヤジ

4
戦前「東洋のパリ」といわれ華やかな中にも危険な香りのする魔都上海の灯に無数の蛾(人)が群がる。阿片をめぐって上海ヤクザと日本軍特務機関が血で血を争う。そこに上海で成功を夢見た日本人が・・・2025/04/16

Ryo0809

3
満州事変から大東亜戦争下の魔都・上海に麻薬を巡ってドス黒い暗闘が起きる。次郎、ユキエ、伊沢、青幇らの魅力的なキャラが次々と登場し、仲間と思えば裏切り、裏切ると思えば助け合う。夢に向かって疾走する躍動感に魅せられ、民族という束縛から自由になることを求める一匹オオカミの次郎。人脈や絆、掟に支配される秘密結社・青幇。この二つが交錯するように、織り込まれるように、ストーリーは破滅に向かって進む。確かな時代考証をベースに、エンターテインメントとして仕上げた構想力は見事だ。愉しく読んだ。2025/04/04

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