内容説明
1934年上海。「魔都」と呼ばれるほど繁栄と悪徳を誇るこの地に成功を夢見て渡ってきた日本人の青年・吾郷次郎。租界で商売をする彼のもとに、原田ユキヱという謎めいた女から極上の阿片と芥子の種が持ちこまれる。次郎は上海の裏社会を支配する青幇の一員・楊直に渡りをつけ、阿片ビジネスへ手を染めていく。やがて第二次上海事変が勃発。関東軍と青幇の暗闘が激化し、日本人であることを隠して裏社会の階段を上る次郎は窮地に陥る。軍靴の響き絶えぬ大陸で、阿片売買による莫大な富と栄耀に群がり、燃え尽きていった男たちの物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
あまみ
16
序章を、思い起こすことなくほぼ一気に読んだ。終章の前を読んで、序章を思い出し読んだ。うん、この二人らしいなと、思った。 終章でのユキヱ心情には少し引っかかるものがあった。ストーリーの中では、あの一夜こそあったが、その片鱗も見せていないのに……。 とまれ、中盤以降は心が揺さぶられる物語であった。2025/04/19
メロン
8
上海灯蛾というタイトルは、阿片という灯の周りを揺蕩い、ときにその身を焼き尽くされていった者たちを描いた小説である。舞台は1930年代から終戦期にかけての上海租界。アジアのパリと呼ばれた都市の空気感だけで手に取りたくなる作品だ。所謂ノワール小説であり、600ページを超える大作だが、展開が時代と共に動くため冗長さはなく、飽きさせない。 主人公ジローは寒村出身の日本人。貧困や不自由に鬱屈し、立身出世を夢見て上海へやって来た。彼が謎の女・原田ユキエから関東軍の阿片株を託されることを契機に、魔都の裏社会2025/08/30
ゆうこ
7
583頁にもなる本を一度の中だるみもなく読み切った。『俺の遺体は黄浦江へ沈めてくれ。・・・海になれたら、いつか雲にだったなれるだろう』日本の山村の貧しさを嫌い、上海に渡り、阿片に出合ったがために裏組織とつながり持つようになった吾郷次郎。阿片売買、裏切り、殺人、戦争。血生臭い世界にどっぷりハマった男の最期の願いが、海になり、雲になること。民族の垣根を取っ払い、目的を一つとし義兄弟の誓いまで交し合った中でも、中国人にはなりきらなかった男の太くて短い一生。冒頭の遺体を遺棄するシーンが最後とつながりました。2025/04/12
しばれるくん
6
20世紀前半の上海が舞台のノワール小説。中国で実在した秘密結社「青幇」やアヘンが話を牽引していく要素になっていて、登場人物達の思惑や利害関係の複雑さとアクの強さが凄まじいです。特に主人公の次郎がとても頭が切れていて度胸もあり、2章辺りからのめり込んで読んでしまいました。2025/04/27
ひょろ
4
これでもかというほど駆け引き三昧ではらはらしっぱなしだった。 最後の締め方もとてもよかった。2025/10/21
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