ちくま新書<br> フッサール入門

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ちくま新書
フッサール入門

  • 著者名:鈴木崇志【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2025/03発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480076731

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内容説明

現象学は、世界とかかわる私の経験の仕組みを解明し、日常の事柄に新しい視点を与え、身近な他者ともう一度出会いなおす試みだ。一生をかけて愚直に著述を重ね、認識をめぐる哲学の根本問題と対峙し、現代哲学を切り拓いたフッサール。超越論的還元、エポケー、直観、志向性、ノエシス/ノエマ、知覚、生活世界、エンパシーといったエッセンスを平易に解きほぐしながら、誰も踏み入れたことのない場所で孤独に探究しつづけたフッサールの哲学的思考を追いかける、決定版入門書。

目次

はじめに/現象学とは何か/現れと出会い/フッサールの現象学/本書の構成/第一章 他者と向き合うための孤独──フッサールの肖像/1 フッサールの生涯/少年時代(1859~1876年)/学生時代(1876~1883年)/ブレンターノとの出会いから『論理学研究』執筆まで(1884~1901年)/ゲッティンゲン時代(1901~1916年)/フライブルク時代(1916~1928年)/晩年(1928~1938年)/フッサール文庫/2 フッサールの文体と思考/探検家フッサール/フッサールと一緒に哲学する/誰も踏み込んだことのないところ/他者と向き合うための孤独/第二章 経験の仕組み/1 どんなふうに経験を記述するか/世界のなかで生きる/リンゴの木を空想する/リンゴの木を経験する/空想と経験が織りなす生/経験から出発する/スイッチはどこ? /2 自然的経験/素朴な経験としての自然的経験/経験はあとから訂正されうる/志向性/「現れ」と「現れるもの」/世界あってこその経験……なのか? /循環の問題/像の問題/自然的経験からしばらく距離をとる/3 超越論的還元/経験は止められないけれど/エポケー(判断停止)/日常に帰るまでが現象学/括弧入れと遮断/世界を意識の内側に引き戻す/4 「超越論的」であるとはどういうことか/経験の可能性の条件/「超越的」と「超越論的」/カントの言葉づかい/フッサールの言葉づかい/カントの超越論的哲学からフッサールの超越論的現象学へ/5 超越論的経験/何も引かない、何も足さない/リンゴの木と私のあいだに/現れを素通りするということ/現象学は何を記述するのか/経験の仕組みの問題/コラム1 蜜柑と紅葉/第三章 経験の分類/1 経験の領野へ/経験の領野の歩き方/体験、意識、作用/空虚な作用/直観/対象を根源的に与える直観/すべての原理のなかの原理/「対象そのものが与えられる」ということ/対象の構成/アルケーは身近なところにある/2 さまざまな経験/根源的な与えられ方は一つではない/経験と根源的に与える直観/他者経験の位置づけ/経験の分類の問題/現象学を定義する/第四章 世界との接触/1 超越的知覚/超越的であるとは/現れ、現れるもの、地平/ノエシスとノエマ/ノエマの意味/カント的な意味での理念/対象に関する言葉づかいの整理/なぜ「カント的」なのか/突き破られる意識/2 内在的知覚/内在的知覚とは何か/移ろいゆく体験を捉える/「生の全体」を捉えることはできるか/3 価値覚/空の青さに見惚れる/価値覚/価値覚と価値判断のつながり/価値覚と実践的な行為とのつながり/生活世界/補章 厳密な学問としての現象学/本質直観とは何か/普遍性にはさまざまなレベルがある/自由変更と理念化/精密な学問と記述的な学問/現象学における記述/厳密な学問としての現象学/形相的還元/第五章 生きている私/1 人間としての私、純粋自我としての私/人間としての私/キネステーゼ/純粋自我としての私/特別な意味での孤独/体験流が私のものであるということ/2 時間のなかを生き抜く私/時間図表/幅をもった現在/過去と未来/3 哲学する私/自己解明としての現象学/自我論とモナド論/フッサールがデカルトから学んだこと/自我論は「独我論」なのか? /自我はやっぱり孤独/なぜ独我論を避けて通れないのか/独我論の難点(1)──日常生活との乖離/独我論の難点(2)──客観性の消失/内から外へ/第六章 私から他者へ/1 異質なものと固有のもの/他者の構成の問題/なぜ「他者」なのか/付帯現前化/異質さを残しつづけるもの/他者との出会い/超越論的な他者経験の理論/固有の領分への還元/固有の領分には何があるのか/2 エンパシー/触発と把握/対化/類比による把握/エンパシー(感情移入)/反論(1)──対化は本当に起こっているのか/反論(2)──他者は結局のところ私のコピーなのか/フッサールのエンパシー論の意義/3 コミュニケーション/エンパシー論からコミュニケーション論へ/私と君/君の声に耳を傾ける/哲学的孤独からの脱却/コラム2 リンゴの木とお茶会をする/おわりに/今回の探検はひとまずここまで/哲学をする理由/読書案内/あとがき/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ex libris 毒餃子

13
フッサールのみならず現象学のエッセンスがつまっている。良本。2025/06/04

ソーシャ

9
著者の日常的な例にひきつけた丁寧な解説をもとに、フッサール現象学の思考の過程をたどっていく一冊。基礎知識を前提とせずわかりやすく書かれているとはいっても単なる知識の解説ではなく、著者とともに順を追って思考しながら読むことを要求される本なので、通して読む必要があります。このフッサールの思考をたどる「孤独な旅」の終着点が他者論となっているのですが、精神病理学の基礎となっているEinfühlung(エンパシー)の概念も解説されていて現象学的な視点についての理解が深まったような気がします。2025/04/13

朝ですよね

5
フッサール入門であり現象学入門でもあり、他の超越論的な哲学者との相違も少し説明されている。かなり丁寧に書かれていて志向性や還元といった用語も分かりやすかった。2025/05/13

zunzun

4
フッサールの思想については倫理の教科書でも他の新書でも何回も触れてきたが、夢中になるほど読みたいと思ったことは一度もなかった。この本で取り上げられているのは「経験」についてである。フッサールはこの「経験」がどのように行われているのか分析し、詳述する。「自然的経験」が私たちが「リンゴの木をみる」ことだ。しかし、リンゴの木をみたあと、たまにそれを様々な角度や細かさを以て見始めることはないだろうか。すると、「リンゴの木」という志向性で済んでいたものが別様にみえてくる。これを「判断の停止」という。2025/03/20

μέλισσα

3
フッサール自身がエンパシーで不十分だと考えていたことから、現象学の他者論が自我のコピーでないと論ずるのは、むしろ現象学の自我論が他者をうまく扱えていないと考えた方が通る(現象学の立場から組み尽くせない他性を構成できるのであれば別だが)ような気がする。 が、コミュニケーション論の方は知らなかった。しかし、意図の問題は同様に音から声への移行の説明が必要になるのではないか。 とは言いつつ、それらはフッサールへの不満でしかなく、現象学への一歩目としては非常に良い本であると感じた。2025/03/25

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