内容説明
3.11を忘れない――。感動のTVドラマを作者・内館牧子
自らの筆で書き下ろした小説版が文庫で登場!
巻末にはドラマで主役を演じた
俳優・千葉雄大氏 感動の解説を掲載!
◎あらすじ◎
谷川晃は宮城県南部の街・亘理のいちご農家の長男。
家業を継ぐ気はなく、東京の大学に進学することに。
2011年3月11日は、アパートの契約などのために上京していた。
その間、晃を除く家族全員が津波に呑まれてしまい、8年経っても誰一人見つかっていない。
大学卒業後、東京で就職するも志半ばで仙台に戻った晃の目には、
人々がすっかり震災のことを忘れてしまっているかのように映っていた。
そんな晃を支えてくれたのは、恋人の岡本美結。
しかし、家族のことを考えると「自分だけが幸せになれない」と、晃は苦しんでいた。
そんな時、二人の前に1台のタクシーが現れる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆのん
36
4月から憧れの東京で大学生として一人暮らし。『その日』は幼なじみと東京へ。震災で家族全員を亡くした主人公。何故自分だけ生き残ってしまったのか…。何故?何故?『あの時』と後悔し、生きている罪悪感、決して1人だけ幸せにはなれない、なってはいけないという思い。そんな主人公の前に現れた一台のタクシーに連れていかれたのは…。何度も何度も涙が流れてしまう。明るく前向きを装う主人公の本当の思いに痛みさえ感じる。『何故、あの時』という思いが自分自身を追い詰めていく。真の復興は人の心の回復なんだと強く感じた。2025/02/01
速読おやじ
12
3.11で誰も大切な人を失っていない自分にとって、震災はやはり遠い場所の出来事だった。でも、家族全員を失い前を向けなくなった晃のような人もいる。「自分だけ幸せになっていいのか」と悩み、恋人との関係もすれ違っていく。そんな中で起きる不思議な出来事。死者と生者が再会するなんてオカルトのようでいて、生きている人が誰かを思うように、亡くなった人もこちらを思っている。そんな想像に救われる人もいると思う。あの世とこの世をつなぐ設定も、切なく温かい。読んでいて目頭が熱くなった。本作はドラマのノベライズ!ドラマも観よう。2025/04/03
DI
0
宮城県南部の街・亘理のいちご農家の長男谷川晃は、東京の大学に入学準備するために2011月3月17日地元を離れて上京する。 このことで晃の運命が大きく動く。 家族5人と愛犬一匹を一瞬のうちに亡くした晃は悩み苦しみながら生きていくが心満たされることはない。 ある時不思議な現象を経験して、晃もその家族もお互いがお互いのことを思いやってることが分かりこれから生きる道を見出す。 人が人を思いやる気持ちも大事であるが、やはり自分らしく生きるていくことが、亡くなった人たちへの一番の思い遣りではないかと思いました。2025/04/26
あっきー
0
3月11日、ひとり旅のお供にと本屋でジャケ買いした本がこの小説。あまりの偶然に鳥肌…。 あの世の地元で皆んな生きてる。そうであって欲しいね。2025/03/11