内容説明
私は、ずっと前から、滑走路で助走していたのかもしれない――パリからの留学生と暮らしを共にすることとなった夫婦、自分の強みを生かして奮闘するツアーコンダクター、もう辞めようかと悩む書店員、ある事件の影響で飛行機はおろか空港にすら近づけない女性……。空港では、多くの人びとがすれ違い、時に交差する。みなそれぞれに屈託や葛藤を抱えながら、それでも明日を信じて。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆみねこ
88
空港を舞台にした6つのストーリー。娘の友人であるパリからの留学生を迎える家族・海外旅行の添乗員・空港内の書店員・グランドスタッフ・ディスプレイ職人・NYの9.11テロで飛行機に乗れなくなった女性。冒頭とタイトルになった物語以外の4編はお仕事小説。添乗員さんが描かれた「扉のムコウ」とディスプレイ職人さんの「夜の小人」が好き!面白かった。2025/06/22
みかん🍊
74
空港に迎えに行く人、空港で仕事をする人、空港から飛び立つ人、様々な空港に纏わる連作短編集、最初のホームステイの外国から来た女の子を親に押しつけて逃げる娘はちょっといかがなものかと思ったけど、次のツワコンの彼女のお仕事小説は一番良かった、CAではなくグランドスタッフの仕事、表には出ない空港のディスプレイを請け負う男性、心に傷を負い飛行機に乗れなくなった女性とどれも温かな前向きな作品で、飛行機に乗る予定がなくても空港に行きたくなった。2025/08/04
えんちゃん
58
とある空港を舞台にした短編集。ゆるく連作しているので『あ!あのひとだ』って分かるとちょっと嬉しい。短編だけど飛鳥井さんお得意の心理描写の細やかさゆえ、続けて読むと登場人物がいっぱいで結構おなかいっぱいになるので一話づつ読む方がお勧めかな。それこそ空港ロビーの待合室でさくっと読んだら洒落てる感じ。空港の雰囲気が素敵なのは、そこに働く人たちが素敵だからでしょう。久しぶりに飛行機に乗りたくなりました。海外は行きたくないので国内で。2025/05/13
papapapapal
44
空港を舞台に、ゆるゆると繋がった連続短編。宝探し要素や遊び心があるこの手の短編集は大好き。1〜5話は初出が2012〜15年、コロナ禍前後のお話になるように修正が入ってる? 空港で働く様々な業種の人たち、特に添乗員さんとディスプレイ職人さんのお話、夢があって良い! 誰の人生にも輝くような物語が潜んでる。 第6話だけ毛色が違い…テロやら震災やら、読んでいて辛い部分もあるけど、総じて元気をもらえる一冊だった。多かれ少なかれ、この世界の誰もが傷や十字架を背負って生きている。2025/05/23
yuni
41
村山早紀さんの『空の港』はファンタジー色が濃い作品でしたが、飛鳥井千砂さんの空港を舞台とした作品はより現実味を帯びた内容でした。空港で働く人、利用する人、それぞれに人生があり、生きていれば誰しも苦悩を経験します。そんな困難を少しずつ乗り越えて再び羽ばたく姿は、滑走路へとゆっくり進み助走を経て大空へ飛び立つ飛行機と重なります。だからかな。私は離陸する飛行機を何度見ても胸が高鳴ります。ツアーコンダクター、グランドスタッフ、空港の小人さんの話が好みでした。登場人物全員にたくさんの幸せが降り注ぎますように。 2025/08/13
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