内容説明
中華の絶対権力者であると同時に、一人の親でもある皇帝にとって、皇太子の選定は王朝存亡を賭けた最重要課題であった。強烈な個性を押し通した先代と比較されて苦しむ二代目、甘やかされる三代目など、皇位継承に見られる構造的な困難を乗り越える秘訣を、秦の始皇帝から清の康熙帝まで歴代14人の事例から明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
134
いかなる権力者も後継者選びは最大の難問。特に専制君主たる中国の皇帝にとっては王朝の盛衰を左右し、臣下たちも栄光か死かを迫られる重大事だったため、権力への執着と激烈な政争が無数の悲喜劇を生んだ。失敗した始皇帝は秦を滅ぼし、前漢の劉邦は外戚に国を乗っ取られかけた。逆に後漢の光武帝と清の雍正帝は適任者に無事引継ぎ、隋の煬帝と唐の李世民は兄を引きずり降ろして即位した。共産党政権下でも文化大革命は毛沢東の権力闘争であり、習近平は反汚職を武器に政敵を粛清する。血で血を洗う政治抗争は現代まで続く中国の宿痾だと痛感する。2025/06/15
南北
44
中国王朝の皇帝がどのように権力や権威を獲得していくかについて書かれている。大きく分けて創業者と後継者の違いがあるが、権力を持った創業者は後から権威を身につける必要があるのに対し、後継者は後から権力を身につけることが多い。ただし中国では官僚・宦官・外戚(母親や祖母を含む)の三つ巴で権力争いをしているため、それらをどう排除するかが鍵になってくる。元の皇帝が取り上げられていないのは漢籍を中心に研究しているためかもしれないのかなと気になった。現在の共産党政権でも子孫が継承しないだけで権力争いは同様だと感じた。2025/07/05
さとうしん
18
皇位継承にあたって似たようなタイプ、あるいは似たような状況にあった異なる時代の皇帝を2人ずつ取り上げるという形式で、プルタルコスの『対比列伝』を思わせる構成(皇帝に「列伝」というのもおかしい気がするが)。ただ、基本的に近年の研究の成果を積極的に盛り込むという風ではなく、たとえば始皇帝について『趙正書』の存在にはまったく言及せず『史記』の記述に沿って話を進めるという具合に、正史など史書に沿った内容。章節ごとにあちこち時代が飛ぶが、ほかの章で関連の記述がある場合はその章を提示するといった配慮もなされている。2025/04/28
電羊齋
14
中国の皇帝の後継者選び、その時代の政治史などを解説している。ユニークなのは歴史上似た立場、似たタイプの皇帝同士をセットで対比する構成で、秦の始皇帝と漢の武帝、前漢の恵帝と清の順治帝、唐の太宗と宋の太宗などといった並びになっている。内容については、あとがきにもあるとおり、歴代正史・『清史稿』に沿っている。近年の研究はあまり参照していないらしい。個人的感想としては、清の皇帝たちについての記述、清の政治史に関する認識はかなり古く見えたし、満洲人の名前の表記についても気になる箇所が多かった。2025/05/11
coldsurgeon
13
中国史を皇帝とその後継者をめぐる視点でみると、別の興味深い見方ができるものだとわかる。父として自らの立場を、どのように子に受け渡すかは、絶大な権力と富をを有する中国皇帝にとって、自ら解決しなければならない重要な問題であったはずだ。それぞれの時代、それぞれの皇帝の有する内情により、歴史は動かされていったことが、わかる。面白い視点を持つ歴史書でした。2025/07/18




