内容説明
ナチスドイツ占領下のポーランドでレジスタンス運動に活躍した、勇敢なユダヤ人女性たちがいた。彼女たちは武装蜂起を率い、武器や資金の密輸に尽力し、勇敢にもナチスに抵抗した。これまで男性たちの陰で語られなかった彼女たちの真実を描く、歴史ノンフィクション。
戦争において男性を物語の中心におく伝統的な記述では、女性たちの貢献が軽視されてきた。しかし著者は、第二次世界大戦において重要な、女性たちの経験に関する多くの事実を発見する。
綿密な調査にもとづき生々しく描かれる、ナチスによってゲットーに押し込められたユダヤ人たちの暮らしと、強制収容所での凄惨な日々。そして秘密活動に従事する女性たちの手に汗を握る緊迫した日常。
スティーブン・スピルバーグ監督によりハリウッド映画化権取得済!
「何であろうと彼女たちを止まらせることはできない。その決意を揺るがせるようなものは存在しない……女性たちの物語は、歴史の輝かしい1ページとなるだろう。この娘たちは不屈だ」
(歴史家エマヌエル・リンゲルブルム(1900年-1944年)がワルシャワ・ゲットーで書いた1942年の日記より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つちのこ
48
すさまじい生への記録を読むことができた。ナチス占領下のレジスタンスの活動は、ベラルーシでユダヤ人パルチザンを組織し1200人もの同胞の命を救ったビエルスキ・ブラザ-ズの活動が有名だが、本書の内容はさらにその上を行く。ワルシャワゲットーのユダヤ人蜂起の裏側には、アーリア人やポーランド人になりすましてゲットーからゲットーへと情報や武器といったさまざまなものを運ぶ勇敢な娘たちの姿があり、武器を持ってナチスと闘った不屈の女性闘士たちがいた。ホロコーストの事実を伝える多くが、ユダヤ人が従順な子羊のようにガス室に⇒2025/03/12
リュウジ
9
★4知らなかった。ナチの暴力を前にユダヤ人たちは無抵抗なまま死んでいったと思っていた。この本には一矢報いる程度の抵抗に命を懸けた多くのユダヤ人女性たちがいた。彼女たちを支えたのはナチへのむき出しの憎しみと日本人には理解しがたいユダヤ民族主義だった。一方でナチに手を貸すユダヤ人もいた。それもまた、自分や家族が生き残るための選択(あの時代の生きる目的)でもあったんだろうな。それは人間の正直さであり恐ろしさ…なんだな。あれから約80年。今、ゲットーの娘たちがいれば、イスラエルのガザへの行為はどう思うんだろうか。2025/05/18
トト
2
第二次世界大戦のポーランドにて、ナチスに抵抗したユダヤ人女性たちの足跡を辿ったドラマチックなノンフィクション小説。ゲットー(ユダヤ人強制収容所)のレジスタンス活動から武装蜂起、逮捕、刑務所収監から逃亡まで、中心として書かれるのは「運び屋」と呼ばれる女性たち。彼女たちは、出版物、食料、武器、人をも運ぶ。別の人種、別人になりすまし、違う言葉を使い、時にはたぶらかし、作戦を遂行する。まさにスパイ小説のようにハラハラドキドキ。しかし実在した人物で、写真も存在。生き延びた人もいれば、殺された人も多い。想像以上です。2025/02/10
ミネチュ
1
ナチスがユダヤ人を迫害されていた時代、ユダヤ人による激しいレジスタンス活動があったそうです。それ自体はよく知られているみたいですが(私は知らなかった)、レジスタンス活動で女性が従ではなく主となって活動していた例は今まで明らかになっていなかったそうです。本書はそこに光を当ててノンフィクションを書かれたものです。 良い本でしたが、名前が難しくて覚えられず、人間関係がわからなくなって大変でした。 もう一回読まないといけない、もう一回読めばよくわかりそう、と思いました。 2025/05/11
amanatsu
0
ひとつの民族を殲滅しようなんて、酷い犯罪だと改めて本書を読んで思ったが、ヨーロッパの中でのユダヤ人の立ち位置とか、ひとつの国に幾つかの民族が暮らしていることとか、国々が陸続きであることとか、日本と比べて遥かに複雑なんだなと感じた。下水道の中に長時間潜んだり、激しい拷問を受けたりと、読むのが辛いシーン満載。でも、「もう終わりだ」と死を覚悟した一瞬でも、絶望的と思われた事態の中でも、最後まで諦めてはいけない、希望を捨ててはならないんだと言うことが良く分かった。2025/04/09