内容説明
焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う。「私はこの世界から消えなきゃいけない」と語るライ。彼女と一緒に暮らすことになり、由嘉里の世界の新たな扉が開く……。推しへの愛と三次元の恋。世間の常識を軽やかに飛び越え、幸せを求める気持ちが向かう先は? 死にたいキャバ嬢×推したい腐女子――金原ひとみが描く恋愛の新境地。第35回柴田錬三郎賞受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セシルの夕陽
47
初読み作家。由嘉里27才銀行員、恋愛経験ゼロ、焼肉擬人化アニメに陶酔する腐女子。そんな由嘉里の一人称の物語。句点が極端に少ない文体に戸惑った序盤。歌舞伎町キャバ嬢:ライに拾われ一緒に暮らすことになった。2次元にしか興味がなかった由嘉里が、2.5次元的なライやホストのアサヒと接するうちに、生身の他人と共存できていく…句点が程よい文体へ変わっているではないか! 『死にたみ』のライを、思い止まらせるため、必死になる由嘉里…自己肯定感も出てきた♡ 振り切った登場人物が多かったが、他の作品も読みたくなった⭐️2025/08/18
mayu
26
焼肉を擬人化した漫画を推して推して推しまくっている腐女子の由嘉里と希死念慮を持つ美しいキャバ嬢のライ。死んで消えてる状態が本来の姿だというライに生きる気持ちをどうしても持ってほしい由嘉里。恋愛経験が無くて恋愛する事に憧れを抱き過ぎてる暴走思考が面白くてグイグイ読ませる。ライを想う由嘉里の気持ちもわかるし、根本的に持っている概念が違うのもわかる。自分を受け入れて変化していく姿は逞しくもあって、少しうらやましかったなぁ。圧倒的パワーと勢いに押されたジェットコースターの様な小説だった。2025/01/27
よっち
20
焼肉擬人化漫画をこよなく愛する腐女子の由嘉里。人生二度目の合コン帰り、酔い潰れていた夜の新宿歌舞伎町で、美しいキャバ嬢・ライと出会う物語。私はこの世界から消えなきゃいけないと語るライと一緒に暮らすことになった由嘉里。変わらぬ推しへの愛の一方で、三次元の恋や世間の常識といったものに振り回される彼女が、ライを通じてホストのアサヒ、小説家ユキ、ゲイバーのオシンといった様々な人たちと出会い、少しずつ心境が変わってゆく展開で、うまく行かないことに直面しながらも、自分がどうしたいのかを見出してゆく結末は良かったです。2025/01/20
yuui
11
実際にこういう事が起こっとったら悲しくなるな、世界。 オシンさんが最高やな。 わかって貰えやん、理解できやん幸せも確かにあるよね! この本で「乖離」を覚えました🤗 どうかライが帰ってきますように🙏 面白かったです📚2025/07/10
settar
10
腐女子。彼女たちは、一つの大きな愛を持っている。 しかし大きすぎるが故に、それ以外が無に等しくなる。 作中では、そんな腐女子の由嘉里が歌舞伎町の個性的な面々と触れ合うことで、現実に大切なものを見つけていく。 由嘉里の「好き」がどんどんアップデートされていく様子は、頼もしく、どこか羨ましくもあった。 いろんな人の「好き」を知り、自らの「好き」を顧みる。 こんな小説を待っていた。金原ひとみの大好きな長編。2025/07/05