内容説明
家族の親密な関係を収めたシリーズ「Skinship」が、欧米で高い評価を受けている写真家・木戸孝子氏。米ICP(International Center of Photography)を卒業後、ニューヨークで写真家として活動していた木戸氏は〝ある出来事〟がきっかけで、警察に逮捕されてしまう。
逮捕を機に目を向けた日米のカルチャーギャップ、日本ではあまり知られていないアメリカの拘置所の実態、刑が確定してから再び写真家として活動するまで――。本書には、著者がニューヨークで体験した出来事や、その経験を作品に昇華していくまでの物語が綴られている。文中には、著者がニューヨーク時代に撮影したシリーズ「The Ordinary Unseen」などの写真も挿入されている。
2024年11月には、ベルギーで日本の写真を専門に扱う「IBASHOギャラリー」によって、世界最大規模の写真展示会「Paris Photo」に「Skinship」が出展された。さらなる飛躍が期待される著者の、創作の礎となる体験が綴られた一書。
・シリーズ「アジアと芸術」第4弾。
・鳳書院が運営するnote「アジアと芸術digital」での連載「見えない日常」を書籍化。
目次
第一章 ある日、突然の逮捕
第二章 カルチャーギャップ
第三章 判決の時
第四章 獄中の出会いと、強制送還による別れ
第五章 再出発
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おほり
2
国ごとに文化の違い、摩擦があることは頭では分かっている。この本はそのようなうわべの理解に対して、渾身の一撃を加えてきた。アメリカでの逮捕、裁判は読んでいて、苦しかった。息が止まりそうだった。身体的に苦しくなった。しかし、そこからの解放は、本当に解放だった。最後に木戸さんが自らの写真のテーマを見つける、いや定める部分が出てくる。それはスキンシップだ。しかし、そのスキンシップは「いかにも」なものではない。えぐってくる。見るものの価値観、心情をえぐってくる。 考えさせる著作であった。2025/08/18