内容説明
小学6年生のダニエルは、戦争時代の話をきくためにアンナおばあちゃんを訪ねた。
――第二次世界大戦中、12歳のアンナはドイツでのユダヤ人迫害をのがれ、「キンダートランスポート」(イギリスをはじめ各国の家庭がユダヤ人の子どもを受け入れた活動)でイギリスへ避難することになった。列車の発車寸前、どさくさにまぎれて若い母親からかごを渡される。中には赤ちゃんが! アンナはイギリスに着くまで、その子の面倒をみる。
無事に田舎の農場についたアンナ。ドイツにいる両親を心配しながら、英語を学び、里親のもとで新しい生活になじもうと努力する。
ある日、農場の姉弟といっしょに、納屋でけがをした兵士をみつける。イギリス兵だと名乗ったが、アンナは、男がドイツ語をつぶやいたのに気づく。男はドイツのスパイだったのだ。イギリス兵だと信じるふりをして水や食べ物を運んでいると、手紙の投函をたのまれる。アンナはそれをイギリス軍の大佐に知らせ、男を見はる。こっそり男のあとをつけるアンナだが、みつかってピンチに!――
話をきいたダニエルは、アンナおばあちゃんの誕生日に贈るサプライズプレゼントを思いつく。
ナチによるユダヤ人迫害や、1万人もの子どもたちを救ったキンダートランスポートの活動などの史実をふまえ、緊張感いっぱいに描かれたフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
65
フィクションですが、リアリティもあって、読み応えのある物語でした。こうした作品が出版されていることに意味があるんだと感じます。戦争には、被害もか加害もあることは間違いなく、様々な角度からしっかりと伝えていくことが、本来の歴史の検証なんだと思います。2024/10/30
はる
62
12歳のアンナはドイツでのユダヤ人迫害をのがれ、「キンダートランスポート」(イギリス政府によるユダヤ人の子どもを受け入れた民間活動)で、イギリスへ避難することになった。だが、その列車の発車する直前に見知らぬ母親から赤ちゃんの入ったバスケットを渡される……。アンナの様々な悩みや葛藤が繊細に描かれるとともに、終盤はハラハラする展開で引き込まれました。ただスパイ展開はちょっとやり過ぎかなあ…。主人公のアンナの人生には作者の想いが込められています。丹地陽子さんの描く、表紙のアンナの表情がいい。2023/09/17
pinko
46
歴史、スパイ、少女の成長物語の要素が組み合わさった小説でページをめくる手が止まら無かったです。主人公のアンナはユダヤ人でナチの迫害から逃れるために、両親と離れ、キンダートランスポート(民間でのユダヤ人の子供の輸送)でイギリスに渡れました。 ユダヤ人の子供1万人はこの輸送で命が救われ、救われなかった子は150万人も居たそうです。イギリスに着くまでの話は実際に経験した人の手記を元に書かれています。私は戦争で自国を離れ、怯え暮らしてる人の気持ちを理解したと共に、今の平和な暮らしが続くよう願いました。2026/01/02
chiaki
40
祖母アンナの記憶を辿る物語。水晶の夜以降、独国での暮らしに命の危険を感じた両親はアンナをキンダートランスポートで英国に避難させる。友人からの偏見と両親から遠く離れた寂しさを紛らすように忙しく家事を手伝い、勉学に励むアンナの強さが切ない。後半、スパイらしき不審な男との遭遇から物語はガラリと変わり、その無謀とも思える攻防にハラハラ!両親の生きる希望だったアンナの存在とその想い、運よく生き長らえたとて罪悪感に苛まれながら懸命に生きるアンナ、孫ダニエルが贈ったこれ以上にない誕生日プレゼント…悲喜こもごも感涙必至!2024/06/03
Cinejazz
37
ナチスのユダヤ人迫害から逃れるため、子供たちを疎開させる「キンダ-トランスポ-ト(子供の輸送)」という救済活動によって、ドイツからイギリスに渡った少女アンナの苦悩と哀歓に満ちた波乱万丈の物語。…キンダ-トランスポ-トによって1万人の子供たちの命が救われた半面、紙一重の差で、150万人の子どもたちは死に追いやられたという事実に愕然とさせられる。…もしも、ユダヤ人少女アンネ・フランクが、キンダ-トランスポ-トでイギリスに来ていたら?…という、本著者<ヘレン・ピータ-ズ>の罪なき子どもたちへの↓2026/01/01
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