内容説明
一度、逃げだしたわたしでも
また、ステージに立っていいのかな
部員がつぎつぎやめて
自分も幽霊部員になってしまった過去をもつ冴島。
部長なのに、と悔やみつづける彼女は、
真意の読めない後輩、高科から
卒業公演で主演をするよう勧められる。
とまどいながらも、冴島は
部員とともに中学最後の舞台にのぞむ。
演劇部シリーズ第2作!
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たくさんのものをみんながくれた。
おかげで、こうしてここに立てた。
わたしは、こんなふうにみんなと作る演劇が大好きだ。
ツラいこともあった。けど、それでもやっぱり演劇が好きなのだ。幽霊部員になっても、退部届はだせなかった。それくらいには好きだった。
やめなくてよかった。
つづけられてよかった。
そう思えるようになれて、本当によかった。
(本文より)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
白雪ちょこ
14
シリーズ第2弾。 今回は、幽霊部長と化していた結海が主人公の話。 舞台のシーンでは、赤ずきんちゃんをオマージュした作品と、銀河鉄道の夜が主となっている。 新メンバーも加わり、部員は更に賑やかになり、演劇部以外で進路や人間関係の悩みなど。 学校時代のあるあるや青春が、ぎゅっと詰まっていた。 引退する時の寂しさと達成感、それも色鮮やかに思い出させてくれた。 高科くんがまたいいキャラをしており、この演劇部は結海ちゃんが去った後でも、共に乗り越え、成長していくだろうことが伺える。次巻もあるならば、楽しみ。2025/04/12
雪丸 風人
13
新入生が劇部復活に奔走した前作に続く主役はなんと幽霊!じゃなくて元・幽霊部員だった3年生の部長。自信がなくネガティブの沼に陥りがちな彼女が、ラストステージに向けて奮闘する物語です。迷いに迷っていた少女が、先輩や後輩の支えもあって変わっていくさまは感慨深いですね。とくに後輩男子とのハラハラする距離感が面白かったですよ。前作の主人公たちもいい感じで盛り上げてくれて頬が緩むこと請け合いです。読む順序が逆でもちゃんと楽しめるような描写が差し込まれているので、筋書きを忘れていてもOK。(対象年齢は11歳以上かな?)2025/06/10
joyjoy
8
シリーズ2作目。演劇部部長の冴島先パイ、うじうじしすぎです!と、もどかしく思いつつ読み進めたが、部員たちのほうはしっかりと彼女を受け止め、少人数ながらも各自の個性を生かし団結。いつも役づくりに熱心な冴島だけに、部長という役割りの役作りにこだわりすぎていたのかもしれないね。ラストはさわやかにカーテンコール。先輩、後輩との関係から自分を見つめることができるのは、部活動のよいところかな。 自分の学生時代、レギュラーでもないのにキャプテンに選ばれ、苦しかったけれど充実していたときのことも思い出せた。2025/05/15
ごま麦茶
4
シリーズ2冊目。今回は秋の文化発表会。そしてそれは、冴島先パイの引退公演。冴島先パイのネガティブなモヤモヤに、共感しつつ、励ましつつ読みました。冴島先パイ、とても応援したい子です(勿論みんな応援したいけど)。高科くんとのやりとりにきゅんとしました。恋愛のきゅんという訳ではなくて、一緒にひとつのこと(部活)に打ち込む青春のきゅん。劇中劇も面白かったです!引退公演は胸アツ。『銀河鉄道の夜』が好きなのもありますが、胸がぎゅぅっとなりました。とても爽やかで素敵な青春小説でした。被覆部や高校名にニヤニヤでした(笑)2025/02/18
よし
3
嬉しい続編です。今回の主人公は冴島部長。自分の代になってから部員が減り、自らも幽霊部員となってしまっていたことに負い目を感じている冴島。主役に押されてもどこか自信なさげだけれど、演じることに真剣な姿に、冴島を応援する気持ちが湧いてきました。部長や主役という立場に自信が持てないのも、高校で演劇を続けるかどうか迷って進路に悩むのも、勇気を振り絞って過去と向き合い、乗り越えられて良かった。ひとりじゃなかったと思えて良かったです。きっとまたこのメンバーに会える気がしています。#NetGalleyJP2025/02/18